青木ヶ原の樹海あおきがはらのじゅかい

富士山西北麓一帯、西湖・精進湖・本栖湖から大室山に広がる3000万m2の広大な原生林帯。864(貞観6)年の富士山の大噴火*の際、大量に流れ出た青木ヶ原溶岩流は西北麓一帯を焼け野原にしたが、溶岩が冷えたあと、その上に新しく木々が芽吹き森が再生された。このため、土壌の厚さは10数cmしかないが、ツガ、ヒノキなどの常緑針葉樹を中心にソヨゴ、アセビ、ミズナラ、フジザクラ、カエデなどの広葉樹も存在するユニークな森となり、溶岩は苔におおわれている。樹海には溶岩洞穴にすむコウモリをはじめ、ネズミやモグラなどの小動物、アカゲラやウグイスなどの鳥類、さらにオサムシなどの昆虫類などが棲息する。
 樹海の探勝のために遊歩道が整備されており、ルート*の取り方によって自然散策から本格的なトレッキングまで楽しむことができる。新緑は5月中旬~6月下旬、紅葉は10月中旬~11月上旬である。
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みどころ

1960(昭和35)年に発表された松本清張の小説「波の塔」のなかで青木ヶ原の樹海は、「木々が、散乱する溶岩の裂け目に鋭く根をおろし、立ち枯れの木は白い木はだをむきだし、ヘビのように横たわる倒木は、千古の苔を宿した人跡未踏の原始密林である。この中に迷いこむと、死体も発見できない」場所として描かれ、ヒロインが樹海に消えたことから暗いイメージが定着したが、現在は、遊歩道も整備され、環境保全も進み、富士山の創造した自然の森を楽しむことができるようになっている。青木ヶ原を望むには西湖南岸の紅葉台*からがよい。
 「青木ヶ原樹海ネイチャーガイドツアー」も実施されており、溶岩流や溶岩洞穴の生成のメカニズムや、千年の森に棲息する動植物について学ぶこともできる。
 原生林、溶岩群や動植物の環境保護保全のため、散策やトレッキングを楽しむ際には、木チップが敷かれた遊歩道から外れないよう努めたい。
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補足情報

*貞観の大噴火:平安時代に編纂された「日本三代実録」では、「忽有暴火。焼砕崗巒。草木焦熱。土鑠石流。埋八代郡本栖幷剗(せ)両水海。水熱如湯。魚鼈皆死。百姓居宅。與海共埋」とあり、噴火により流れ出た溶岩流が䆜の海を埋めたことが記されている。これにより、青木ヶ原と西湖、精進湖が形成された。
*ルート:青木ヶ原樹海の遊歩道へは、西湖コウモリ穴がある西湖ネイチャーセンターをはじめ竜宮洞穴、西湖野鳥の森公園、または、鳴沢氷穴、富岳風穴、精進湖民宿村などから入れる。西湖ネイチャーセンターでは「青木ヶ原樹海ネイチャーガイドツアー」も実施している。
*紅葉台:西湖南側の丘陵の尾根を通っている東海道自然歩道を辿れば、富士山、青木ヶ原はじめ西湖、本栖湖を望むことができる紅葉台(標高1164m)やさらに山中湖も望める三湖台(標高1202m)、青木ヶ原とともに富士山を間近に、遠くに南アルプスまでも眺望する標高1305mの足和田山(五湖台)のトレッキングが楽しめる。紅葉台までは車でアプローチできる。

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