湯沢市は、秋田県の最南東部に位置する。東部に奥羽山脈、西部に鳥海山東部山地があり、北部は横手盆地の南部にあたる。雄物川とその支流である皆瀬川、役内川沿いに豊かな水田地帯を形成。県境付近の西栗駒一帯は雄大な自然林を有し、豊富な温泉群にも恵まれている。南部の宮城県境付近は栗駒国定公園に含まれる。
 北を横手市、東を東成瀬村、西を羽後町と由利本荘市、南は山形県新庄市、最上町、金山町、真室川町と宮城県栗原市、大崎市に接している。
 JR奥羽本線、国道13号、108号、398号、湯沢横手道路が通じ、湯沢、三関、雄勝こまちの各インターチェンジがある。秋田県の南の玄関口となっている。
 歴史は古く、縄文時代の遺跡が多数発掘されている。また、平安期の才女「小野小町」は湯沢市小野が生誕地と言われ、岩屋洞などの多くの史跡や伝承が残る。中世は稲庭を拠点とした小野寺氏、末期は最上氏の支配下にあった。1602(慶長7)年、中心地区の湯沢に秋田藩佐竹氏の一族佐竹義種が入り、以後佐竹南家の居館が置かれた。羽州街道の宿駅でもあり、藩直営の銀山として繁栄した院内銀山の鉱石を秋田城下へ送る中継地として商業も活発化。良米と水に恵まれ、江戸時代から酒造業がおこり、現在では東北の灘と称される。
 米作をはじめ、野菜やリンゴなどの果樹栽培が盛ん。また、川連漆器(国の伝統的工芸品)、曲木木工、洋家具、秋田仏壇、木地山こけし、樺細工などを特産する。稲庭うどんも有名。
 縄文期の岩井堂洞窟は国指定史跡。日本三大霊場の川原毛地獄、鮞状珪石および噴泉塔(国の天然記念物)、この地に生まれたとされる小野小町を奉る小町堂等がある。8月6、7日の七夕絵どうろうまつりは佐竹南家の5代義安が京都から迎えた鷹司家の姫を慰めるために始めたといわれ、現在もつづく行事。この他、秋の宮温泉郷、小安峡温泉や温泉は泥湯温泉、鷹の湯温泉がある。

観光資源一覧

川原毛地獄の写真

川原毛地獄 (秋田県 湯沢市 )

JR奥羽本線湯沢駅から南へ約30km、泥湯温泉の西2km、灰白色の荒々しい岩肌を見せ、硫化水素ガスを噴出させている標高約800mの硫黄山で、川原毛地獄*1と呼ばれている。辺りには鼻をつく強い硫黄臭が漂う。807(大同2)年に修験場*2として僧月窓によって開かれたという。この地は、川原毛硫黄山と呼ばれた鉱山でもあり、1623(元和9)年に採掘...

泥湯温泉の写真

泥湯温泉 (秋田県 湯沢市 )

JR奥羽本線湯沢駅から南へ約30km。高松岳(標高1,348m)の北東麓、標高630mの山あい、高松川沿いにある。温泉施設*1は2軒。温泉の発見については、不詳だが、1814(文化11)年に訪れた紀行家菅江真澄は「泥湯山(高松岳、山伏岳、小安岳)の麓になりぬ。湯のもとに、天狗岩とていといと高き岩嶺に松生ひ、紅葉したるなど、いとおもしろし。此...

稲庭うどんの写真

稲庭うどん (秋田県 湯沢市 )

稲庭うどんは奥羽本線湯沢駅から南東へ約15kmの皆瀬川沿いの稲庭町(湯沢市)で生まれた手延べの平たい乾麺である。なめらかな舌ざわりと、つるつるとしたのどごしが特徴の麺。  稲庭うどんの始まりについては諸説あるが、1814(文化11)年にこの地を訪れた紀行家菅江真澄の「雪の出羽路」では「稲庭郷中町驛」の項で「名産御用乾饂飩とし...

湯沢の七夕絵どうろうの写真

湯沢の七夕絵どうろう (秋田県 湯沢市 )

例年8月5、6、7日に七夕行事として、湯沢市内の市役所通りや柳町、大町、ジークブルガー通りなどの商店街に大小百数十基ほどの絵どうろうや青竹に短冊や吹き流し等が飾りつけられる。美人画・武者絵・風俗画などを題材に応募した市民*1が中心となって絵筆を揮っている。  この行事の起源は、江戸時代中期の1702(元禄15)年に当地を支配し...

犬っこまつりの写真

写真提供:一般社団法人秋田県観光連盟

犬っこまつり (秋田県 湯沢市 )

江戸時代初期から続いているといわれる湯沢地方の小正月(旧暦1月15日)の民俗行事*1で、犬や鶴、亀などを米の粉(新粉細工)でかたどってお供えし、盗難や魔除けなどを祈願したことが始まりとされる。現在は、毎年2月の第2土曜日とその翌日の日曜日に行なわれ、JR奥羽本線湯沢駅から北西1.5kmにある湯沢市総合体育館周辺特設会場をメイン会...

小安峡大噴湯の写真

小安峡大噴湯 (秋田県 湯沢市 )

JR奥羽本線湯沢駅から南東へ約30km、栗駒山(標高1,626m)西麓を流れる皆瀬川の上流に、約8kmの険しいV字谷の小安峡がある。その谷底の川岸には、轟音とともに98℃の熱湯を噴き出す大噴湯があり、高低差60mほどを降りると、その先に渓流沿いの遊歩道が続く。この遊歩道は上流、下流2個所の駐車場から降りることができ、徒歩片道30分ほど。岩壁...

神室山の写真

写真提供:新庄市

神室山 (山形県 新庄市 / 山形県 金山町 / 秋田県 湯沢市 )

山形・秋田の県境にあり、栗駒国定公園の一角を占める。神室山(1,365m)を主峰に、黒森(1,057m)、水晶森(1,097m)、前神室山(1,342m)、天狗森(1,302m)、最高峰の小又山(1,367m)、火打岳(1,237m)などの山々が連なる。壮年期の隆起山塊で、多雪地帯で気候が厳しいことから、稜線は非対称に削ぎ落とされ、急峻な山容をみせる...