犬っこまつりいぬっこまつり

江戸時代初期から続いているといわれる湯沢地方の小正月(旧暦1月15日)の民俗行事*1で、犬や鶴、亀などを米の粉(新粉細工)でかたどってお供えし、盗難や魔除けなどを祈願したことが始まりとされる。現在は、毎年2月の第2土曜日とその翌日の日曜日に行なわれ、JR奥羽本線湯沢駅から北西1.5kmにある湯沢市総合体育館周辺特設会場をメイン会場とし、サブ会場を湯沢市中心商店街として、開催される。
 会場では、雪で作ったお堂と犬っこが立ち並び、夜には、お堂のろうそくに火をともす。近年では、雪で犬っこ神社も設営され、「愛犬祈願祭」も行われ、ペットのお祓いをうけることもできる。冬花火やキャンドルイベント「千の雪灯り」なども催される。
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みどころ

メイン会場では、ローソクがきらめき、幻想的な雪国の行事である。秋田犬をはじめ、多くの犬たちも飼い主に連れられ集まってくる。お堂の周囲には、頭巾をかぶった雪ん娘が登場し、冬花火、キャンドルイベント、湯沢南家佐竹太鼓の演奏やどんど焼きなど多彩な行事が催される。
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補足情報

*1 小正月の民俗行事:江戸末期の紀行家菅江真澄が1785(天明5)年にこの地を訪れ、犬っこ祭りにつながると思われる「鳥追い」行事について「しら粥に、もちゐひ入てくらふ。狗(いぬ)、猫、花、紅葉など、いろいろにいろどりたるかたしろ(形代:神霊がよりつくもの)を餅を持て作り、わりこに入て、わらはへ(童部)、家ことに持はこひたり、これを鳥おひくわしというふ」などと詳しく紹介している。また、柳田国男の「犬の子正月」によると、小正月を行うのは「厄年の男女がもう一度年を取り重ねる習俗と、関係がありそうである。越後の中部ではこの日の行事に、米の粉を練って小狗(いぬ)の形をこしらえて戸の棧に飾り、または 十二支の形を作り鴨居 長押に引掛ける習わしがあり、犬の子正月の名はこれに基づいている。」と解説しており、古くから、広く行われていた習俗であったことが推測できる。
 なお、湯沢地方では、「湯沢には江戸時代の初め、『白討(はくとう)』という大盗賊が出没し、殿様が退治したが、再び盗賊が現れないよう、米の粉で小さな犬っこや鶴亀を作らせ、旧小正月の晩に家の入口などに供え、祈念させた」という伝承もあるという。