輪島市は、石川県の能登半島北西部に位置し、日本海上の七ツ島、舳倉島を含む。日本海に急斜面で面し、丘陵地が広く、東部から宝立山、鉢伏山、高洲山、高爪山などが連なって海に迫る。複数の小河川が日本海に注ぎ、それぞれ沖積平野を形成し市街地や農耕地が形成されている。東は珠洲市、能登町に、南は穴水町、志賀町に接している。
 国道249号が通じ、能越自動車道のと里山空港インターチェンジがある。地方港湾で避難港の輪島港からは舳倉島に定期船が通う。2003(平成15)年には市域南東部の木原岳周辺に能登空港が開港した。
 中世は中央部が大屋荘の地で、大屋湊(輪島港)が栄えた。近世には諸産業がおこり、輪島包丁、小刀などの鍛冶、輪島素麺、堅地漆器、のしあわびなどを産した。漆器は現在も輪島塗として全国に知られる。
 漆器工業が主産業で、珪藻土「地の粉」を用い、伝統的手法で堅牢・優美な製品を生産する。また、林業も盛んで、輪島塗漆器の素地にも使用する県木のアテ(アスナロ)を産する他、ウルシを植栽して漆液の確保にも努めている。この他、米作を主とする農業や、北方海上の七ツ島、舳倉島は沿岸漁業の拠点となっている。
 80km余に及ぶ海岸線は優れた自然景観を呈し、断崖の曽々木海岸(国指定名勝・天然記念物)や白砂の袖ヶ浜、舳倉島などは能登半島国定公園域。北部の町野川河口近くには流人大納言平時忠の子時国を祖とする上下の時国家があり、江戸時代の住宅はともに国指定重要文化財。
 このほか、名舟の白山神社の祭礼に行われる御陣乗太鼓、急斜面につくられた白米の千枚田(国指定名勝)、市立民俗資料館などがある。輪島港に近い河井町本通は朝市が立つことで有名。

観光資源一覧

奥能登の黒瓦の集落群の写真

写真提供:石川県観光連盟

奥能登の黒瓦の集落群 (石川県 珠洲市 / 石川県 輪島市 / 石川県 能登町 / 石川県 穴水町 )

「能登には、黒瓦の屋根と下見板張りの伝統的な住居が多く、統一感のある景観と独特の風情を生み出している。黒瓦は、「能登瓦」とも呼ばれ、材料に能登の水田の土を使い、山の薪を燃料にして、七尾市や珠洲市などの農村地帯で生産されてきた。黒あるいは銀黒の美しい釉薬で覆われた能登瓦は、耐寒性に優れるといわれている 。輪島市の黒島(...

總持寺祖院の写真

總持寺祖院 (石川県 輪島市 )

輪島市門前町の中央、八ガ川の南にあり、山内約2万坪とされる風光幽玄な寺院。正式名称を諸嶽山總持寺といい、越前の永平寺とともに「曹洞出世之道場」として栄えた曹洞宗の大本山である。1321(元亨元)年、瑩山紹瑾(けいざんじようきん)*によって開かれ、2世峨山韶碩(がざんしょうせき)に定められた五院輪住制*により発展、前田氏の外...

白米千枚田の写真

白米千枚田 (石川県 輪島市 )

輪島の東、曽々木への国道沿いにある。山裾が落ちこむ海に面した斜面3.8haに1,004枚の小さな小さな田が段々に並び、あぜが美しい模様をつくっている。平野の少ない輪島は急傾斜地が多く、昔から地滑りに悩まされてきた。それでも、この土地は用水源が確保されれば、地味が良く適当な日当たりがあり、良質のコメが採れたため、田んぼを作るた...

輪島の朝市の写真

輪島の朝市 (石川県 輪島市 )

輪島の市の起源については明確ではないが、平安時代もしくは室町時代期には輪島で市が開催されていたのではないかといわれ、1000年以上の歴史があるとされる。現在のように毎日、市が立つようになったのは明治時代からで、午前8時を過ぎると、通称「朝市通り」と呼ばれる河井町本町通り商店街の道路両側に、約350mにわたって約160の露店が並ぶ...

時國家の写真

時國家 (石川県 輪島市 )

1185(文治元)年に能登へ配流された平大納言時忠(ときただ)*の子孫である時国氏の屋敷。源氏による迫害を恐れた時忠の子時国が、名前を姓とし、さらに転居して、農業・製塩業・金融業・海運業などの多角経営で富をなし、時国村を成した。1581(天正9)年、能登は加賀前田藩領となったが、1606(慶長11)年に時国村の一部が越中から移って...

輪島大祭の写真

輪島大祭 (石川県 輪島市 )

8月22日より25日までの4日間、連続して開催される旧輪島町4つの産土神の例大祭の総称で、能登キリコ祭りでも代表的なもの。昔、舳倉島(奥津比咩神社)に鎮座した女神と、輪島市内(重蔵神社)の男神が年に一度、松明を目印に浜辺で逢うという祭典が原点で、300年以上の歴史があるといわれる。すべての祭礼が神様に涼んでいただく「お涼み祭...

名舟大祭(御陣乗太鼓)の写真

名舟大祭(御陣乗太鼓) (石川県 輪島市 )

7月31日~8月1日に行われる。名舟の産土神は、舳倉島の奥津比咩神社だといわれており、名舟大祭は、急陵な崖に張りつくように鎮座している奥津比咩神社の遥拝所である白山神社に各地区のキリコが参集し、舳倉島に向いて海中に立っている鳥居まで白山神社から下った神輿を乗せた舟を漕ぎ出し、奥津比咩の神を迎える神事から始まる。護岸堤に仮...