輪島大祭わじまたいさい

8月22日より25日までの4日間、連続して開催される旧輪島町4つの産土神の例大祭の総称で、能登キリコ祭りでも代表的なもの。昔、舳倉島(奥津比咩神社)に鎮座した女神と、輪島市内(重蔵神社)の男神が年に一度、松明を目印に浜辺で逢うという祭典が原点で、300年以上の歴史があるといわれる。すべての祭礼が神様に涼んでいただく「お涼み祭り」で、メインの行事は夕刻もしくは夜に行われ、総漆塗りの豪華なキリコが巡行するのは漆の里・輪島ならではである。22日に先陣を切る海士町奥津比咩神社の大祭は、夕日が美しい袖ヶ浜での神輿の海中渡御がある。神輿が長く入水しているほうが大漁に結びつくといわれている。23日は河井町重蔵神社の大祭で、高さ10mを超す柱松明に火がつけられ、若者が松明の頭部に取り付けられた三本の御幣竹を奪いあう。獲得した御幣を自分たちのキリコに付けることが栄誉となる。24日の鳳至町住吉神社の祭礼は、神のしもべである天狗や般若の面をつけた打ち手が激しく打ち鳴らす「御神事太鼓」が神輿を先導し、竹の先に燈籠をつけた「笹キリコ」がお供をする迫力満点なキリコの走行がみられる。25日は輪島崎町輪島前神社の大祭で、港に大漁旗を掲げた漁船が並び、タイの形をした神輿やキリコが町内を練り歩き、豊漁と海上安全を祈願する。
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みどころ

それぞれの祭礼に特徴があり、夕暮れの海で陸から曳く子どもたちと、カラフルな腰巻をつけ女装した若者たちが担ぐ神輿とか綱引きをするかたちとなり、海中と渚の間を水しぶきをあげて何回も行き来して豊漁を願う入水行事が行われる奥津比咩神社大祭、火の粉が舞う中で、誉れをかけて縁起物の御幣を奪い合う松明神事が見られる重蔵神社大祭、柱松明の場所が三角州広場で、そこへ向かう橋の上をキリコが一気に走り出す様子は輪島大祭の中で最も荒々しいといわれる住吉神社大祭、漁船が大漁旗を掲げて盛り上げる中、ユニークな形の神輿がキリコをともない、町内の細い通りを勢いよく駆け抜ける輪島前神社大祭といった、各神社の祭礼にみどころがある。
 なお、輪島キリコ会館*では、「輪島大祭」で使われる大小さまざまなキリコ約30基が展示され、祭囃子と光による演出が施され、祭りの臨場感を味わえる。
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補足情報

*輪島キリコ会館:2015(平成27)年3月に現在のマリンタウンへ移転してリニューアルオープンした。館内には、祭り囃子(まつりばやし)が流れ、ガイドの説明を聞きながらキリコ祭りの雰囲気が楽しめる。展示スペースには、高さ10m以上の大キリコ7基とキリコ24基を展示、2階には祭りの様子を映すスクリーンシアターやキリコを上から観覧することができる空中回廊があり、3階には1階から突き抜ける大松明が展示されている。切子担ぎなどの体験メニュー(要予約)もある。また、期間限定で御陣乗太鼓の演奏も行っている。