名舟大祭(御陣乗太鼓)
舳倉島の奥津比咩神社の大祭で、7月31日~8月1日に行われる。奥津比咩神社は名舟の産土神といわれ、名舟大祭はまず、急陵な崖に張りつくように鎮座する奥津比咩神社の遥拝所である白山神社に各地区のキリコが参集。その後、海上の鳥居まで白山神社から下った神輿を乗せた舟を漕ぎ出し、奥津比咩の神を迎える神事から始まる。護岸堤に仮設した舞台の上では、夜叉・幽霊・鬼・達磨など、奇怪な面をかぶった人々が打つ太鼓の激しいリズム・所作が異様な雰囲気を醸し出す。言い伝えによると、能登に攻め込んで来た越後の勇将上杉謙信の軍勢を、名舟の農漁民が仮面をつけ陣太鼓を打ち鳴らして退散させた。この戦勝が舳倉島の産土神の御神徳によるものとされ、名舟大祭で太鼓を奉納するようになったという。2日目の本祭りでは、山車の上の御陣乗太鼓が道中を音で清める露払いを行いながら神輿を先導した後、名舟海岸で船に神輿を乗せ、海上の鳥居まで祭神を送り出す。海岸では御陣乗太鼓の奉納打ちが始まり、祭りは終盤を迎える。

みどころ
御陣乗太鼓の見どころは、迫力のある力強い太鼓と、恐ろしい形相の面をかぶった人々の舞いにあるが、船による祭神の送迎や、急坂の参道をキリコを担いで登る勇壮な姿も見ごたえがある。「キリコは素朴な雰囲気だが、白木を素材に彫刻が目をひくものもあり味わい深い。珍しい海上神事ではみこしを船に載せ、海上に立つ鳥居まで進み、御神霊をお迎え。みこしの後にキリコがつき、集落内を渡御する。太鼓はもちろん、海上神事も他でなかなか見られない風情がある。ここは見どころが多い」(「祭りの国能登 渋谷利雄の世界」北陸中日新聞)といわれている。太鼓は、最初はゆっくり(序)、次いでやや早く(破)、最後はさらに早く(急)という緩急をつけた三段のリズムで進行し、これを何回も繰り返す。その間、打ち手は自由に見えを切り、面に応じた個性的な身振りを行う。

補足情報
*御陣乗太鼓は名舟町の有志が御陣乗太鼓保存会を結成して公演活動を行っており、輪島キリコ会館(2025年7月現在休館中)で7~9月はほぼ毎日、5~6月は土日、10月は上旬ごろまで無料実演している。時間は20時30分から20分間程度。その他に輪島市や和倉温泉などのホテルでも上演している。石川県指定無形文化財に指定されている。
関連リンク | 輪島たび結び(輪島市観光協会)(WEBサイト) |
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参考文献 |
輪島たび結び(輪島市観光協会)(WEBサイト) 御陣乗太鼓(御陣乗太鼓保存会)(WEBサイト) 『図説 輪島の歴史』輪島市 『祭りの国能登 渋谷利雄の世界』北陸中日新聞・2020年11月29日 |
2023年08月現在
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