熊野本宮大社くまのほんぐうたいしゃ

熊野本宮大社は南紀白浜空港から北東に約60km、JR紀伊本線新宮駅から北西に約35km、紀伊半島南部の山中に位置する。日本全国に4,700社あまり散在する熊野神社の総本宮で、熊野大権現として広く世に知られている。主祭神には、家津美御子大神(スサノオノミコト)*を祀っている。古くは熊野坐神社といい、延喜式神名帳には名神大社として記載がある。    
 1889(明治22)年の水害で流失する以前までは大斎原と呼ばれる熊野川とその支流の音無川・岩田川の合流する中洲に鎮座していた。現在の社殿は1891(明治24)年、約500m北方の高台に遷座した際に移築再建されたものである。現在地は祓戸王子跡に近く、境内の西端を熊野古道が階段状に通っている。熊野参詣に向かう全ての道は本宮を目指していた。
 旧社地大斎原にあった本宮社殿のうち上四社3棟(西御前・中御前・証誠殿・若宮)は建築様式を踏襲して移築再建されており、19世紀初頭の社殿建築(熊野権現造)を今に伝えている。中央の本殿(第三殿)に主祭神の家津美御子大神(スサノオノミコト)、第一殿に伊邪那美神、第二殿に伊邪那岐大神、第四殿には天照大御神が祀られている。
 遷座しなかった中四社と下四社は旧社地大斎原の石祠に祀られている。大斎原の大社は、およそ1万1千坪の境内に5棟12社の社殿、楼門、神楽殿や能舞台などが配置され、現在の数倍の規模だったとされる。
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みどころ

現在の社殿は158段の石段を登りつめた先にあり、太い注連縄が渡された神門の奥に檜皮葺の重厚な社殿が立ち並んでいる。ここが本社地だったと言われても信じてしまうほどの荘厳な雰囲気である。境内にある宝物殿では江戸中期~後期頃の製作と伝えられる「熊野本宮并諸末社圖繒」で、大斎原に社殿が広がっていた往時の姿を確認することができる。
 大斎原には高さ約34m、幅約42m、日本一の巨大鳥居が2000(平成12)年に建立竣工されており、鳥居をくぐった先の明るい森には石祠が静かに祀られている。現在の熊野本宮大社を参拝する際には、ぜひ旧社地も訪れたい。
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補足情報

*家津美御子大神:素盞嗚命(スサノオノミコト)は樹木を支配する神であり、現在の和歌山県を示す「紀の国」という呼称は、木の神が棲む国を意味する「木の国」が由来となっている。
関連リンク 熊野本宮大社(WEBサイト)
参考文献 熊野本宮大社(WEBサイト)
熊野本宮観光協会(WEBサイト)
熊野三山協議会(WEBサイト)

2025年02月現在

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