秋田市は、秋田県中西部に位置する。北東部に出羽山地の一部の太平山地があり、山麓一帯は秋田杉の美林でおおわれている。太平山地を源流とする旭川、太平川と、市の南部から北西流してくる雄物川が流れ、その流域に秋田平野が広がり、生産力が高い穀倉地帯となっている。
 南部は由利本荘市、東部は大仙市、仙北市、北部は北秋田市、上小阿仁村、五城目町、井川町、潟上市に接している。県庁所在都市。
 JR奥羽本線が通じ、羽越本線と男鹿線を分岐する。また、奥羽本線・田沢湖線経由で秋田新幹線が盛岡に連絡している。国道7号、13号(羽州街道)、46号、101号、341号が通じる。また、東北横断自動車道釜石秋田線(秋田自動車道)が通じ、市内に数箇所のインターチェンジがある。雄和椿川地区には秋田空港があり、中心市街地とはバスで連絡している。
 秋田市の街の歴史は、1602(慶長7)年に始まる。1604(慶長9)年に佐竹義宣が神明山(現在の千秋公園)に新城を建設し、新たな城下町の整備を進めたことによる。この時築かれた城下町は久保田と呼ばれ、以後明治に至るまで秋田藩佐竹氏の城下として繁栄した。旧秋田市街の輪郭ができたのは1633(寛永10)年といわれる。
 農業は宅地化の影響もあり年々減少しているが、米作を主とし「あきたこまち」発祥の地として知られる。ほかに野菜や果樹・花卉栽培、酪農・畜産が盛ん。食品加工・販売も行われている。林業では、太平山地から原木の切り出しや製材が行われる。特産品は日本海の砂地に生えるハマナスの根皮で絹糸を染めて織った秋田八丈、院内銀山などを背景とした銀線細工、土人形の八橋人形などがある。
 国史跡の秋田城跡は奈良・平安時代の古代城柵(出羽柵)遺跡で、現在も発掘調査が続けられている。同じく国史跡として江戸時代末期を代表する国学者の平田篤胤墓がある。国指定重要文化財の旧奈良家住宅のほか、重要文化財として秋田藩主佐竹家の菩提寺である天徳寺(本堂、書院、山門、総門)、佐竹家霊屋、嵯峨家住宅、旧黒澤家住宅、三浦家住宅、藤倉水源地水道施設、小田野直武筆『絹本着色不忍池図』(秋田県立博物館蔵)、銅造阿弥陀如来坐像(全良寺蔵)等がある。
 史跡として地蔵田遺跡、天然記念物として柱状節理の筑紫森岩脈、重要無形民俗文化財「土崎神明社祭の曳山行事」(ユネスコの無形文化遺産に登録)、東北四大祭りの一つに数えられる竿灯祭り(国の重要無形民俗文化財)、秋田万歳(県指定無形民俗文化財)などの文化財が多数ある。
 また、秋田大学鉱業博物館、秋田県立美術館、市立千秋美術館などがある。

観光資源一覧

竿燈まつりの写真

写真提供:国立国会図書館デジタルコレクション

竿燈まつり (秋田県 秋田市 )

8月3日から6日までの4日間、秋田市の中心部、竿燈大通りなどで繰り広げられる祭り。この祭りの主役となる竿燈*1の最大である「大若」は、12mの竹竿に46個の提燈*2を米俵を重ねたように九段にわけて吊するすため重量が50kgに及ぶ。これを印半纏、白足袋姿の若者の差し手が囃子に合わせ額、肩、腰へと倒れないようバランスをとりながら移動させ...

しょっつる鍋(ハタハタ鍋)の写真

写真提供:一般社団法人秋田県観光連盟

しょっつる鍋(ハタハタ鍋) (秋田県 秋田市 / 秋田県 男鹿市 )

しょっつるとは、魚を材料にした塩汁(塩魚汁)のことで、塩汁がなまったともいわれている。同様のものは、古来から「醤(ひしお)」*1と呼ばれ、材料となる魚の種類は違うものの、石川県では「いしる」、香川県では「いかなご醤油」などとして全国各地にある。秋田県では、ハタハタ*2やイワシなどの魚と塩を桶に仕込み重石をのせて、1年以上...

天然秋田杉の古里「仁別国民の森」の写真

天然秋田杉の古里「仁別国民の森」 (秋田県 秋田市 )

JR秋田新幹線・奥羽本線秋田駅から北東へ23km、秋田市の東端にそびえる太平山の西麓一帯に「仁別国民の森(仁別自然休養林)」は広がる。「仁別国民の森」は秋田藩の藩有林*1として保護されていた歴史があり、現在は国有林で2795万m2の広大な面積を有し、標高700~800mまでは、秋田スギを主体とする針葉樹とブナ等の広葉樹の混交...

土崎港曳山まつりの写真

写真提供:一般社団法人秋田県観光連盟

土崎港曳山まつり (秋田県 秋田市 )

JR男鹿駅から西へ200mほどのところにある土崎神明社*1の祭礼で、神輿の渡御に合わせて、町内を曳山が巡行する。例年7月20日、21日の両日に行われる。祭礼は町を挙げて行われ、旧47町内が9つの組に分かれて当番を務め、祭礼の3か月ほど前から様々な神事や曳山の蔵出し、製作、飾り付けなどの準備が進められる。曳山*2の台数は年により異なるが...

秋田県立美術館の写真

秋田県立美術館 (秋田県 秋田市 )

JR秋田新幹線・奥羽本線秋田駅から西へ約800m、千秋公園の南側、お堀の前のエリア内に建つ。同館は千秋公園*1内に1967(昭和42)年に開館されたが、2013(平成25)年に現在地に移転した。現在の建物は、建築家安藤忠雄の設計によるもので、コンクリート打ち放しの壁面やスリット窓などで構成されたシンプルな建築物*2となっている。2階のミュ...