名古屋市は本州中央部の濃尾平野に位置。東は瀬戸市、尾張旭市、長久手市、日進市、東郷町、豊明市、南は大府市、東海市、飛鳥村、西は蟹江町、あま市、大治町、清須市、北は北名古屋市、豊山町、春日井市に接している。また、伊勢湾に南面している。京都と東京の中間に位置するため中京ともよばれる。愛知県の県庁所在市。
 市バスと市営地下鉄が発達。日本初の地下鉄環状線である名城線の他、東山線、名港線、鶴舞線、桜通線、上飯田線が通る。ほかに、貨物線を旅客化した名古屋臨海高速鉄道あおなみ線、愛知高速交通東部丘陵線リニモ、名古屋鉄道(名鉄)、近畿日本鉄道(近鉄)が走る。また、遠距離交通では東海旅客鉄道(JR東海)が通り、名古屋駅を結節点として東海道本線、関西本線、中央本線が通じ、名古屋駅は東海道新幹線の停車駅となっている。高速自動車道は名古屋を中心に東名・名神、中央道、東名阪、東海北陸道などが放射状に展開。常滑市にある中部国際空港とは名古屋鉄道(名鉄)空港線やセントレアライン(知多横断道路・中部国際空港連絡道路)でアクセスができる。市内北区と豊山町、小牧市にまたがる県営名古屋空港(コミューター機やビジネス機など小型機の拠点空港)もある。また、日本の五大港の一つである名古屋港があり、貨物船のほかにクルーズ船が入港する。かつて市民の足であった市電は1974年(昭和49)に全廃された。
 北・西・南部は河川の堆積作用によって形成された沖積地。東部は丘陵地で、市域の東北端にあたる東谷山(198.3m)を最高所としてなだらかな丘陵が続き、三河の山地につながり、東から西へ高度を下げる配置となっている。中心部は標高10〜15m程の平坦な台地で、北から南にかけてなだらかに傾斜している。市街の中心は熱田台地上に位置しており、伊勢湾に面する低地には名古屋港を含む埋立地が広がる。河川は、北から南にかけて庄内川、東から南にかけて天白川が流れ、伊勢湾にそそぐ。また、市の中心部には名古屋城築城の際に開削された運河(堀川)が南北に通じている。
 なごやは那古野、那護野などと書かれ、由来は諸説あるが、名古屋に統一されたのは1870年(明治3)の名古屋藩監察令による。1871年(明治4)の廃藩置県に際して名古屋県が置かれたとき、区画章程によって名古屋と熱田の範囲は第一大区とされ、県庁、鎮台、裁判所などの官公署が設置され、城下町から近代行政都市へと転身する基礎が整った。1872年(明治5)に愛知県と改称され、1878年(明治11)の郡区町村編制法施行のとき熱田を分離して名古屋区となり、独立行政体としての名古屋が誕生。1889年(明治22)に県下で初の市となった後、26回の町村併合を重ねて拡大。1975年(昭和50)に現在の16区となった。歴史は古く、中央部の台地上には、原始時代以降の人々の生活の痕跡が認められ、特に弥生・古墳時代の遺跡が数多く分布。古代から中世にかけては、「安食(あじき)荘・富田荘」があり、東部では古墳時代から鎌倉時代の初めにかけて一大窯業生産地を産み出した。江戸時代には、伊勢湾が内田橋あたりまで入り込み、熱田の宮宿は桑名との海上交通−七里の渡し−の港として賑わった。近世の三英傑(信長・秀吉・家康)ゆかりの地であり、その中心が名古屋城である。名古屋城は平城の典型で、その基盤割は慶長年間(1596~1615)に計画的に造成されたもので、武家屋敷、寺町、町屋、堀川などに当時をしのぶことができる。1610年(慶長15)に徳川家康が壮大な城下町をつくり、かつての尾張国の中心が清州から名古屋に移り、新城下町には旧城下町清洲から武士・町人を町ぐるみ移転(清洲越)。これによって城下町がにぎやかになり、江戸、大坂、京都、金沢に次ぐ第5番目の大城下になった。また、熱田は東海道五十三次の宮宿、熱田神宮の門前町として栄えた。近代は日本を代表する工業都市として発展。1907年(明治40)に開港場に指定されてからの名古屋港の発展は目覚ましく、四日市に置かれていたアメリカ領事館が1919年(大正8)に名古屋に移転し、1921年(大正10)に伊勢湾最大の国際貿易港となった。第二次世界大戦後は、産業に加えて国際化や、文化の充実した総合都市を目ざして世界の主要都市と姉妹都市・友好都市提携をおこない、1994年には国際会議場が開館。1995年にはアジアで初の「世界インテリア・デザイン会議」を誘致するなど国際化に努めている。地下鉄創設時(1957年)につくられた地下商店街は全国では最初のものとして知られる。
 商業・サービス関連産業が主流で、製造業がそれに続く。また、繊維、木材、陶磁器、菓子、履物などは古くから都心周辺部にまとまった問屋街を形成しており、なかでも中区長者町の繊維問屋街は有名。現在は、世界デザイン会議、世界デザイン博覧会の開催などによって蓄積されたデザイン資産を活用するため、国際デザインセンターを設立するなど、デザインの産業化に努めている。また、笠寺に分譲型ハイテク企業団地、尾頭橋に賃貸型工業団地(名古屋ビジネスインキュベーター)を造成、志段味地区に大学・公的研究機関、民間企業などを計画的に集積させるサイエンスパーク構想を進めている。名古屋港は、輸出額において成田空港に次いで日本第2位、輸入において成田空港・東京港に次いで第3位を占めている。
 名古屋城跡は特別史跡で、焼け残った隅櫓と表二の門など三門(重文)、二の丸庭園(名勝)などがある。1959年(昭和34)に再建された天守閣は、重要文化財の障壁画・天井板絵など数百点を展示する歴史博物館となっている。文化施設として、徳川美術館、秀吉清正記念館、大須文庫、蓬左文庫、名古屋市博物館、名古屋市科学館、名古屋市美術館などがある。また、市内にあった277寺院の18万9000基の墓碑を東山丘陵の一角に集めた一大墓苑である平和公園や、総合公園東山公園(東山動植物園・高さ134mの東山スカイタワー)がある。このほか、レゴランド・ハパン、名古屋港シートレインランドなどのアミューズメント施設もある。名古屋文化の特色は「芸どころ」といわれるように、江戸時代から庶民の間で茶・華道、舞踊などが盛んで愛好者の裾野が広く、民俗芸能の伝承も多い。熱田神宮も産業・民生と深くかかわる多くの古例の神事を伝えている。

観光資源一覧

名古屋市東山動植物園の写真

写真提供:名古屋市東山動植物園

名古屋市東山動植物園 (愛知県 名古屋市 )

地下鉄東山線東山公園駅から正門まで徒歩3分。隣の星ヶ丘駅からは植物園に近い星ヶ丘門まで徒歩7分。  1937年に開園した東山動植物園は本園・北園・植物園の3つのエリアで構成され、約60万m2の広さを誇る。動物園、植物園、遊園地、東山スカイタワーなどの諸施設の他、スカイビュートレインや、植物園では園内バスも利用で...

熱田神宮の写真

写真提供:熱田神宮

熱田神宮 (愛知県 名古屋市 )

名鉄神宮前駅の改札口を出ると、道路をはさんでほぼ正面に緑豊かな熱田の杜が見える。年間およそ700万人を数える参拝者でにぎわう。クスの巨木が多く、樹齢1,000年前後と推定されるものも数本ある。祭神は熱田大神で、三種の神器の一つである草薙神剣を御神体とする天照大神。相殿に天照大神以下草薙神剣とゆかりの深い4柱が祀られている。古...

ノリタケの森の写真

写真提供:ノリタケの森

ノリタケの森 (愛知県 名古屋市 )

名古屋駅の北約1km。1904(明治37)年に陶磁器製造を開始したノリタケが、2001(平成13)年、創立100周年の記念事業の一環として、ノリタケ本社敷地内に陶磁器に関する複合施設「ノリタケの森」をオープンした。  約34,000m2の広大な敷地は豊かな緑に囲まれ、文化と出会う「カルチャーゾーン」、暮らしを楽しむ「コマーシャルゾ...

名古屋まつりの写真

写真提供:名古屋まつり協進会

名古屋まつり (愛知県 名古屋市 )

1955(昭和30)年に始まった秋を彩る名古屋市最大の祭りである。祭りのメインは、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑に三姫が付き添い、鎧武者や足軽隊などを従えて行進する郷土英傑行列である。その他、からくりの演技や華やかな水引幕、夜空に点灯された数多くの提灯など見どころが多い山車揃*の他、神楽揃、華やかなフラワーカーなど...

名古屋能楽堂の写真

写真提供:名古屋能楽堂

名古屋能楽堂 (愛知県 名古屋市 )

地下鉄鶴舞線「浅間町」または地下鉄名城線「名古屋城」より徒歩10~15分。1997(平成9)年、能や狂言などの伝統芸能の振興と文化交流の推進を目的として開館した。木曽檜造りの能舞台と、演能の解説を聞くことができるイヤホンガイド設備を備えた630席の見所(けんしょ)を持つほか、資料やビデオで能楽を紹介する展示室も備える。  日本...

久屋大通公園の写真

久屋大通公園 (愛知県 名古屋市 )

名古屋市の戦災復興計画で実現した二本の100m道路のうち、1本が東西に走る若宮大通、もう1本が南北に走る久屋大通である。久屋大通は、「清州越し」で整備された1辺が約100mの碁盤割がそのまま利用された。  久屋大通は、若宮大通から北方、外堀町通まで名古屋市街の中心を南北にのびる延長1.7km、平均幅員112m、片側4車線、日本では数少な...