網走市
印刷する網走市は、道東部にあり、東は小清水町、南は大空町、西は北見市に接し、北はオホーツク海に面する。
JRの石北本線、釧網本線が接続し、国道39号、238号、244号が集まる。
おおむね南方に高く、藻琴山を経て阿寒の雄峰を望み、西は網走湖・能取湖を経て北見盆地に連なり、東は斜里平野の奥に知床連山の雄峰を臨む。また水辺空間が多く、115kmにおよぶ網走川は阿寒群峰に発し、津別川、美幌川などと合流して網走湖を経てオホーツク海に注いでおり、網走川の河口付近に中心市街地が形成されている。その他にも市内には藻琴川、卯原内川、浦士別川など大小の河川及び能取湖、網走湖、藻琴湖、濤沸湖、リヤウシ湖の大小の湖沼が点在している。海流は主として対馬暖流が宗谷海峡から東流しているが、一部千島海流の流入もみられる。
1947年(昭和22)市制施行。アイヌ語学者の知里真志保によれば、地名は網走川河口近くの海中にある帽子岩をさす古いアイヌ語「チパ・シリ」(幣場のある島)に発し、チパが古語になってその意が解しにくくなり、チ・パ・シリ(われらが・発見した・土地)の意に受け取られ、チと同意のアに変わってア・パ・シリとなったとされる。18世紀末に漁場が開かれ、1880年(明治13)郡役所が置かれ、以来地方行政の中心地となった。現在も国や北海道庁の出先機関が多い。
農業はジャガイモ、小麦、サトウダイコンなどの畑作と牛乳、牛肉、ブロイラーなどの畜産が行われ、水田はほとんどない。林業、ホタテガイ、サケ・マス、タラなどの水産業、同加工業は盛んである。工業では食品や窯業がある。内陸部の開発に伴って網走港の港湾整備も進み、商港、漁港の機能をもつオホーツク海岸第一の港湾となった。1~3月の流氷の時期には港内は完全に凍結する。砕氷船による流氷観光が冬季の呼び物となっている。
海岸沿いには原生花園、湖沼・湿原、放牧風景など網走国定公園を彩る自然景観が展開し、濤沸湖はラムサール条約登録湿原。市街南の桂ヶ岡公園には郷土博物館やアイヌの築いた砦跡(国指定史跡)が、網走川河口付近に先住民族の居住跡であるモヨロ貝塚(最寄貝塚)(国指定史跡)がある。天都山は標高200m余の丘だが、360度の雄大な展望を楽しめ国の名勝に指定されており、オホーツク流氷館がある。中腹は北海道立オホーツク公園となっており、北方民族博物館があり、山麓には博物館網走監獄や網走スポーツ・トレーニングフィールドがある。網走川北岸には網走刑務所が望める。