能取湖畔のアッケシソウのとろこはんのあっけしそう

能取湖は網走市内の北部にあり、東・西岸は丘陵部、北岸は西から砂州が延びてオホーツク海に口を開く潟湖である。アッケシソウは、ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの寒帯地域に広範囲に分布するアカザ科の一年草で、春5月頃に発芽し、高さは10~20cmほどに成長する。夏は緑色をしているが、秋になると徐々に紅色になる。塩分を含んだ湿地(塩沼池)に生育する塩生植物で、日本では厚岸で最初に発見されたので、和名をアッケシソウという。茎が丸く肉厚で枝に節があってサンゴのように見えることから通称サンゴ草と呼ばれている。野付半島、温根沼、風蓮湖、濤沸湖、サロマ湖、コムケ湖などにも生育してる。
 能取湖では複数個所でみられるが、卯原内(うばらない)サンゴ草群生地は国内最大級の規模を誇る。これまで規模が縮小する危機があったが、保全活動を通して2015(平成27)年に復活宣言がだされた。絶滅の危険が高い種とされており天然記念物として登録されている。
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みどころ

能取湖周辺では、他にも能取地区群生地、美岬(みさき)地区群生地、平和地区群生地などの生育地があるが、トイレや木道が整備されているのは卯原内地区だけである。ここには、駐車場から湿地内の生育地までウッドデッキが整備されており、すぐそばでアッケシソウを見ることができる。見頃は9月から10月にかけて。能取湖の湖畔が、一面真紅のじゅうたんと化す景観は網走に秋の訪れを告げる風物詩だといわれている。