神倉神社
神倉神社はJR紀勢本線新宮駅の南西約1km、熊野川の右岸の神倉山にある熊野速玉大社の摂社である。権現山の南側のおよそ100mの高さの断崖絶壁にある。源頼朝の寄進による参道の石段は538段あり、かなりの急勾配で登りにくい。山上の社殿裏にはゴトビキ岩*と呼ばれる磐座(いわくら)が鎮座し、神社のご神体となっている。ここは熊野三所大神の降臨の地であり、『古事記』『日本書紀』によれば、高倉下命(たかくらじのみこと)が神武天皇東征のおり、夢のお告げで布都御魂(ふつのみたま)という神剣を天皇に奉ったところでもあるという。ゴトビキ岩の下周辺からは弥生式時代の銅鐸が出土しており、考古学的にも興味深い場所である。神社の創立年代は不明であるが、歴史の深さが伺える。また毎年2月6日には、松明を手にした男たちが急峻な石段を駆け下りる奇祭「御燈祭り」が行われる。

みどころ
源頼朝が寄進したと伝えられる、鎌倉積みの急峻な石段は想像以上に厳しく、社殿までは心して登らなければならないほどである。しかし、息を整えながら五百数十段を登り切ると、社殿下の広場から新宮の市街地と熊野灘の悠々とした眺めが見渡せて清々しい。 石垣でつくられたわずかな平地に建てられた社殿は比較的小規模なものであるが、社殿の上にせり出す10m超の巨岩の迫力が凄まじく、思わず仰ぎ見ずにはいられない。自然崇拝に根ざした熊野信仰の起源を感じられる名所である。

補足情報
*ゴトビキ岩:ゴトビキとはヒキガエルをあらわす新宮の方言。岩そのものの形が蛙の姿に似ていることからと思われる。
関連リンク | 熊野速玉大社(WEBサイト) |
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参考文献 |
熊野速玉大社(WEBサイト) 新宮市観光協会 (WEBサイト) 日本経済新聞電子版(WEBサイト) |
2025年02月現在
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