八甲田のブナ林はっこうだのぶなりん

八甲田山は青森県の中央、青森市と十和田湖の中間に構える火山で、那須火山帯*に属し、奥羽山脈北端の重鎮である。1,585mの大岳を最高峰とし、高田大岳、赤倉岳、さらにその南側に連座する櫛ヶ峰、駒ヶ峰、乗鞍岳、横岳などの火山群の総称である。
 山体を覆うブナやアオモリトドマツの自然林、山稜部の高山植物や湿原など、美しい植物相を見ることができる。特に山麓の1,000mくらいまでは落葉広葉樹が中心に広がり、その中でも春の新緑、秋の紅葉時の黄色に輝くブナ林は見事である。
 東北森林管理局の説明書きによると「大正の末から昭和の初めにかけて、古くからあったブナ林は、放牧のため、日陰を造るのに必要な樹木を残してほとんど伐られました。その後六十年余りの間に、これら残された木の種から芽生えた樹木等により、再びこのようなブナ林(二次林)になったものです」と記されている。この地にあるブナ林はまだまだ若い木が多く太さこそないが、直立して密集した姿が美しい。
 青森~十和田湖間の道路が、南・北八甲田山群の間を縫って走り、北八甲田の田茂萢岳(たもやちだけ)へはロープウェイが架けられている。青森駅から八甲田ロープウェーまでは約27km、車で50分程度である。
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みどころ

大自然の宝庫である青森県の八甲田、青森市から国道103号線で南下して八甲田山西麓を走る途中、十和田市から西に走り国道394号線、県道40号線の途中、また黒石市から国道394号で東に走り八甲田山中腹の高原にブナ林が広がり、美しい樹林が展開する。白神山地のブナ林は奥深いためなかなか接近できないが、八甲田は高原を走る車窓からブナの美しさを観賞でき、サイクリングやハイキングでもブナ林の中に入ることができる。
 八甲田山はなだらかな山容で裾野が広がるため、ブナ林も広範囲に及びブナ林の見どころも多い。中でも八甲田北東麓の田代平、田代橋からは手軽に楽しめるブナ林散策道が約4km続き、八甲田の風景そして青森を代表するブナ林を探勝できる。また、八甲田ロープウェーから酸ヶ湯、谷地温泉に至る国道103号線沿いも美しいブナ林が続く。酸ヶ湯や蔦温泉周辺もブナ林を散策する遊歩道がめぐらされており、ゆっくり時間をかけて楽しみたい。八甲田山の中腹から蔦温泉まで高度差があるため、春には雪原の中のブナ林から、新緑のブナ林までの変化が楽しめる。
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補足情報

*那須火山帯:南は浅間山付近から北は北海道の樽前山あたりまで、ほぼ東北の中央部を貫く火山帯である。八甲田山・八幡平など東北の多くの火山がこれに属しているが、日本海側は鳥海火山帯が通っている。

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