塩竈市は、県中央部にある港湾都市。南は多賀城市、七ヶ浜町、西から北は利府町、東は松島湾に面し、海をへだて東松島市宮戸島に接する。
 JR東北本線、仙石線、国道45号が通じる。
 海岸地域は出入りの多い海岸線と、200を超える島々からなる風光明媚な松島湾を形成しており、東部はこの松島湾域の一部を占め、桂島、寒風沢島などの浦戸諸島がある。西部は海岸沿いを除く三方面が丘陵性の地形となっており、平坦地は少ない。松島湾の支湾塩釜湾奥に塩釜港がある。海に面する中央部はほとんど埋立地帯となっている。外洋は黒潮と親潮がぶつかる良好な漁場であり、水産業が地域産業として発展してきた。
 1941年(昭和16)市制施行。1950年浦戸村を編入。市名は、古く塩をつくるための塩釜を祀った「鹽竈神社」の社号に由来する。戦国時代にはすでに商業が発達し、近世に入ると仙台藩伊達氏が塩竈神社の社殿を造営し繁栄を図り、また城下町仙台の建設によりその外港としての機能が加わった。さらに17世紀末には漁港や商港として繁栄。松島湾内の寒風沢は風待ち港としてにぎわい、1857年(安政4)に仙台藩の洋式軍艦が建造された地としても知られる。昭和に入り、魚市場が設置されるなどして塩釜港は漁港として急速に発展。2001年(平成13)特定重要港湾の指定を受け、港名を仙台塩釜港と変更。国際拠点港湾となっている。
 水産加工業がとくに発達し、なかでも水産練り製品の生産高は日本有数。また、ノリ、カキ、アサリの養殖も盛ん。
 奥州一の宮として知られる鹽竈神社は年間100万人の参拝客を集め、本殿・拝殿・随身門などが国の重要文化財、境内の鹽竈桜は国指定天然記念物。国重要文化財指定の太刀『雲生』、『来国光』の二振が展示されている鹽竈神社博物館があるほか、志波彦神社、伝統的な和館に洋館を取り入れた「和洋併置式住宅」の建築である旧亀井邸などの史跡、菅野美術館、杉村惇美術館、長井勝一漫画美術館、タイムシップ塩竈、鹽竈まちかど博物館などの文化・観光施設がある。また、国の特別名勝である浦戸諸島は海水浴、ハイキング等でも知られ、魚市場展望デッキや松島湾への観光船の発着場であるマリンゲート塩釜屋上展望デッキからは松島湾や塩釜港の眺めを楽しめる。7月には藻塩焼神事(7月4日~6日)、鹽竈神社例祭(7月10日)や日本三大船祭の塩竈みなと祭(7月第3月曜日)などがおこなわれる。松島湾への観光船もある。

観光資源一覧

松島の写真

松島 (宮城県 松島町 / 宮城県 利府町 / 宮城県 塩竈市 / 宮城県 東松島市 / 宮城県 七ヶ浜町 )

湖のように波静かな松島湾に浮かぶ八百八島と呼ばれる大小、約260の島々。その景観を松尾芭蕉が『おくのほそ道』で「扶桑第一の好風にして」と絶賛した、江戸時代に選定された日本三景*の一つである。現在、広い意味で松島と呼ばれるのは、七ヶ浜町の御殿崎から松島湾をへだてて東松島市波島の南端とを結ぶ線と、鳴瀬川河口右岸から波島東端...

松島湾のカキ料理の写真

松島湾のカキ料理 (宮城県 松島町 / 宮城県 塩竈市 / 宮城県 東松島市 / 宮城県 七ヶ浜町 / 宮城県 利府町 )

秋の訪れとともに松島湾には多くの筏が浮かび、カキの養殖の季節となる。多数の島々があるにもかかわらず潮の流通もよく、波静かな湾は養殖に適し、およそ300年前からカキの養殖は始まったと言われているが、そのころは、カキが育ちそうな場所にカキ殻や子供の貝をまくという簡単な方法だった。今のようにカキ棚を使う養殖が始まったのは、19...

志波彦神社・鹽竈神社の写真

志波彦神社・鹽竈神社 (宮城県 塩竈市 )

JR仙石線本塩釜駅から西、東参道を通り徒歩15分、JR東北本線塩釜駅から表参道経由徒歩25分にある。奥州一ノ宮として名高い「しおがまさま」は、杉木立におおわれる一森(いちもり)山の頂きにあり、松島の島々や遠く金華山を眺望できる地に鎮座する。表参道から石鳥居をくぐると、一直線で急勾配の202段の石段が待ち構え、随神門を経て四脚門を...

浦戸諸島のノリひび・カキ棚の風景の写真

写真提供:塩竈市

浦戸諸島のノリひび・カキ棚の風景 (宮城県 塩竈市 )

浦戸諸島は、松島湾の南に桂島、野々島、寒風沢(さぶさわ)島、朴(ほう)島の4島*の有人島と多数の無人島で構成される。これらの島々が湾の入り口に横たわるので、松島湾はいつも波が静かである。  浦戸諸島周辺は、時期になるとノリとカキ養殖の風景になる。ノリ養殖は9月~1月ころまでで、宮城県のノリは松島湾、石巻湾、仙台湾で養殖...

塩竈みなと祭の写真

塩竈みなと祭 (宮城県 塩竈市 )

鹽竈神社と志波彦神社の各神輿が9時40分に社務所を出発し、表坂を下り、市内を練り歩き、西埠頭から海上へ。志波彦神社のものは龍鳳丸*に、鹽竈神社の神輿は御座船鳳凰丸に奉安され、五色の吹流し、旗差物を飾り立てた供奉船団、神楽船、大漁唄い込み船など約80隻を従え、2艘の御座船は花渕浜で分かれる。  毎年、2艘の船はコースを入れ替...