浦戸諸島のノリひび・カキ棚の風景うらとしょとうののりひび・かきだなのふうけい

浦戸諸島は、松島湾の南に桂島、野々島、寒風沢(さぶさわ)島、朴(ほう)島の4島*の有人島と多数の無人島で構成される。これらの島々が湾の入り口に横たわるので、松島湾はいつも波が静かである。
 浦戸諸島周辺は、時期になるとノリとカキ養殖の風景になる。ノリ養殖は9月~1月ころまでで、宮城県のノリは松島湾、石巻湾、仙台湾で養殖され、東北の95%が宮城産の海苔で「みちのく寒流のり」のブランドで売られている。
カキ養殖は1600年代に野々島で始まった。いまのようなカキ棚をつかう養殖は1926(大正15)年ころからである。水深の浅い松島湾では垂下式養殖で、1~2年かけて育て、10月~11月から収穫になる。宮城県のカキ生産は、広島県に次いで日本第2位である。
#

みどころ

ノリやカキの養殖風景をみながら浦戸諸島を観光するなら、塩竈市営汽船を利用するとよいだろう。塩釜港を出発して23分で桂島、野々島、石浜、寒風沢に立ち寄って、朴島に着く。松島遊覧は塩釜港から松島海岸のコースに利用者が多いが、桂島や野々島に菜の花が咲き乱れるころ、のんびりと浦戸諸島の船旅を楽しむのもよいだろう。
#

補足情報

*桂島:塩釜港の東方、松島湾に細長く横たわる。野々島との間の石浜水道は水深が深く、塩釜港の開港以前は大船が停泊した。箱館へ向かう榎本武揚の率いる艦隊7隻は、20日間停泊した。武蔵国幸手出身白石廣造は、ここを起点に北洋漁業の道を開いた。彼の邸宅跡がある。島内は散策道がめぐらされ、春は菜の花が見られる。標高50mの丘の頂上に巨石3個のうち最大のものは雨降石と呼び、ここを叩くと雨が降るという。ここからは松島や蔵王山などが見える。海水浴・船釣り・磯釣りには最適。ノリの養殖が盛ん。
*野々島:寒風沢島の西北にあるTの字型島で、カキの養殖が盛ん。釣場に最適。
*寒風沢島:松島湾の東端にある海岸線の入りくんだ平坦な島。上総国長南の領主が一族とともに住みついて、幕府御城米の役人を務めた。島の西端日和山には、十二支方角石が残る。宮城県では珍しい常緑広葉樹タブノキが自生。カキの養殖が盛ん。
*朴島:寒風沢島北方に浮かぶ小島で、この島にも常緑広葉樹タブノキが自生する。カキの養殖が盛ん。
関連リンク 塩釜市(WEBサイト)
参考文献 塩竃市(WEBサイト)
『宮城県の歴史散歩』 宮城県高等学校社会科(地理歴史科・公民科)教育研究会歴史部会=編 山川出版社
URATO Localhood(株式会社インアウトバウンド仙台・松島)(WEBサイト)

2023年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

あわせて行きたい