塩竈みなと祭しおがまみなとまつり

鹽竈神社と志波彦神社の各神輿が9時40分に社務所を出発し、表坂を下り、市内を練り歩き、西埠頭から海上へ。志波彦神社のものは龍鳳丸*に、鹽竈神社の神輿は御座船鳳凰丸に奉安され、五色の吹流し、旗差物を飾り立てた供奉船団、神楽船、大漁唄い込み船など約80隻を従え、2艘の御座船は花渕浜で分かれる。
 毎年、2艘の船はコースを入れ替わるが、例えば龍鳳丸の神輿は魚市場から陸を仲卸市場まで行き、魚市場に戻り、御座船で西埠頭へ。一方、鳳凰丸は松島、浦戸諸島をめぐって、松島湾を約5時間にわたって巡航し、2艘の御座船は西埠頭で合流する。街を練り歩き、表坂下に18時35分に着く。出発と帰還に、神社表坂の202段の急階段を下り上りする神輿をかつぐさまに、市民は大拍手を送る。
 祭りは、毎年7月第3月曜日「海の日」に実施される。前夜祭は花火大会、縁日広場には多くの出店があり、市民の楽しみとなっている。本祭の日も、海上渡御中の神輿を待つ間、1989(平成元)年から「陸上パレード」が、市内の全小中学校の生徒と市民の3,000人が参加してにぎやかに行われる。
 歴史的にそれほど古い祭りではなく、1948(昭和23)年、港町塩竃の産業復興と、戦争・戦後と疲れ切った市民の元気回復を願って始められた。御座船が2艘になったのは、1964(昭和39)年からで、この年、漁業関係者から志波彦神社に神輿とともに龍鳳丸が奉献された。
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みどころ

神輿海上渡御は、古来、海からの道案内の役を果たされ、鹽竈神社の別宮のご祭神の鹽土老翁(しおつちおぢのかみ)を年に一度海へお連れするという、神社を崇拝する氏子たちの感謝祭といえる祭りである。それぞれがきらびやかに飾った80艘を超える供奉(ぐぶ)船団が、松島湾の島々と海を背景に海上渡御するさまは、平安絵巻のように華やかで美しい。
 祭りの初めには、参拝で上り下りをするだけでも息の切れる急な202段の階段を、神輿をかついで下り、祭りの終わりには上っていく。この様は大変見事であり、見物客からは感動の大拍手が送られる。
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補足情報

*鳳凰丸とその供奉船行列:江戸時代、仙台藩62万石の威容を誇る伊達家の松島湾内遊覧のための御用船が原点といわれる。

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