県東部にあり、東は岩美町、八頭町、兵庫県新温泉町、南は智頭町、岡山県津山市、西は三朝町、湯梨浜町、岡山県鏡野町に接する。北は日本海に面する。
 JR山陰本線が通じ、因美線が分岐して走る。国道は沿岸部を9号、東部に29号、53号、482号が走る。鳥取自動車道、山陰自動車道、山陰近畿自動車道が通り、9のインターチェンジがある。日本海側に鳥取空港(鳥取砂丘コナン空港)があり、東京と結ばれている。
 市域北部の千代川下流域の鳥取平野に市街地が広がり、南から西は中国山地の山々に囲まれる。鳥取平野は潟湖の湖山池、日本海沿いに発達した鳥取砂丘(国指定天然記念物)や河内川、勝部川、日置川の流域などからなる。鳥取砂丘など海岸部一帯は山陰海岸国立公園に含まれ、東端の扇ノ山は氷ノ山後山那岐山国定公園に属する。佐治川は水石・庭石用で有名な佐治川石の産地。
 1889年(明治22)市制施行。周辺町村の編入を繰り返し、2004年(平成16)5町2村の編入で現在の市域となる。2005年(平成17)特例市、2018年(平成30)中核市に移行。鳥取の名は千代川の沼沢地で水鳥の捕獲に従事していた鳥取部が居住した地で、そこから出たといわれる。歴史は古く、縄文・弥生期の直浪遺跡、縄文期の栗谷遺跡などがある。国府地区は因幡国府所在地で、奈良から鎌倉時代に栄えた。千代川右岸の中心市街は1573年(天正1)山名豊国が鳥取城を本城としたことで城下町として発達。江戸時代は鹿野街道沿いだった中心街は明治に入って智頭街道に移り、さらに明治末の山陰本線鳥取駅の設置で若桜街道沿いになった。用瀬地区は智頭街道の城下町、鹿野地区は城下町、青谷地区は山陰道の古駅で宿場町として栄えた。第二次世界大戦後、鳥取三洋電機や日立金属、グッドヒルなど電機・繊維縫製品工業の町となっている。
 製造品出荷額は県内有数。農業では水稲と果樹栽培を中心に、野菜・花卉栽培、畜産が盛ん。他にナシ栽培や、砂丘地帯の畑地ではラッキョウ(砂丘らっきょう)やメロン栽培もおこなわれる。鳥取(賀露)港は沿岸・沖合漁業の基地で、カレイ、ハタハタ、ズワイガニなどを漁獲。夏泊は海女漁業で知られる。また、古くから因州紙の産地であり、現在も因州和紙の製造が行われている。
 日本海沿いに鳥取砂丘がある。丘陵地に古墳群が多く、魚、サギ、舟などの線刻装飾古墳もある。魚などを描いた彩色壁画のある梶山古墳や宮下の火葬墳伊福吉部徳足比売墓跡、因幡国庁跡などは国の史跡に指定されている。国の史跡にはほかに布勢古墳、栃本廃寺跡、鳥取藩主池田家墓所、久松山鳥取城跡などがある。鳥取城跡の内堀内には明治時代の洋風建築仁風閣(国の重要文化財)や県立博物館がある。また、国の重要文化財には鳥取東照宮(旧、樗谿神社)本殿、拝殿および幣殿、唐門や学行院の木造薬師如来および両脇侍坐像・吉祥天像、常忍寺の絹本着色『普賢十羅刹女像』、福田家住宅などがある。観音院庭園は江戸中期の作庭で国の名勝。このほか、藩主池田氏の菩提寺興禅寺(本堂が国の登録有形文化財)など。国指定天然記念物には白兎海岸がハマナスの自生南限地帯として指定されているほか、砂丘上にある白兎神社の樹叢、松上神社のサカキ樹林、キマダラルリツバメチョウ生息地などがある。祭事では、因幡の菖蒲綱引き(国の重要無形民俗文化財)のほか、大和佐美命神社の獅子舞、越路雨乞踊、円通寺人形芝居、因幡の傘踊、宇倍神社獅子舞、細尾の獅子舞、余戸の雨乞踊、日置のはねそ踊、用瀬のひな送り、姫路神社の百手の神事(いずれも県指定無形民俗文化財)や、鳥取しゃんしゃん祭などがある。ほかに、堆積型ウラン鉱床、山王滝、猿渡渓谷、三滝渓、冬季に水鳥が飛来する水尻池、因幡万葉歴史館、製紙用具などが特色の佐治歴史民俗資料館、山根和紙資料館などがある県立布勢総合運動公園などがある。温泉は浜村温泉、鹿野温泉、吉岡温泉がある。因州青谷こうぞ紙、因州佐治みつまた紙(いずれも県の無形文化財)、牛ノ戸焼などの工芸品がある。

観光資源一覧

鳥取砂丘の写真

鳥取砂丘 (鳥取県 鳥取市 )

鳥取砂丘は鳥取駅の北側約8~9kmの日本海に面した位置にあり、鳥取市白兎海岸から福部町岩戸までの東西16kmに広がる海岸砂丘である。猿ヶ森砂丘(青森県下北郡)に次ぐ規模を誇り、国内で観光することができる砂丘景観としては日本最大級である。1955年(昭和30年)に国の天然記念物に指定されている。  現砂丘は千代(せんだい)川の流砂...

鳥取城の写真

写真提供:鳥取市教育委員会

鳥取城 (鳥取県 鳥取市 )

鳥取城跡は鳥取市内、標高 263m の久松山(きゅうしょうざん)にあり、鳥取市のランドマークとしてその山容と石垣を市内各所から仰ぎ見ることができる。鳥取駅から 2.1km、久松公園としても親しまれている。  鳥取城は16世紀中頃、守護大名山名氏の同族争いの過程で、築城されたと言われている。その防御性の高さから「日本(ひのもと)に...

しゃんしゃん祭の写真

写真提供:鳥取県

しゃんしゃん祭 (鳥取県 鳥取市 )

鳥取しゃんしゃん祭は、踊り手が傘を持って舞い歩く「しゃんしゃん傘踊り」を中心とするもので、8月のお盆に鳥取市の中心街で開催される。全国でお祭り時に住民が踊るのは盆踊りに代表される「手踊り」が基本で、「笠踊り」は山形の花笠、佐渡のおけさ笠など少数派である。まして柄の付いた傘を操る「傘踊り」はこのしゃんしゃん祭以外*には...

わらべ館の童謡・唱歌の写真

わらべ館の童謡・唱歌 (鳥取県 鳥取市 )

わらべ館は鳥取市にある童謡・唱歌とおもちゃをテーマとしたミュージアムである。  唱歌「ふるさと」「春の小川」「朧月夜」の作曲で知られる岡野貞一*をはじめ、田村虎蔵*、永井幸次*らの出身地であったことから、県は「童謡・唱歌のふるさと鳥取」を推進している。その拠点施設としての鳥取県立童謡館と、鳥取市が1989(平成元)年に...

鳥取東照宮の写真

鳥取東照宮 (鳥取県 鳥取市 )

鳥取東照宮は鳥取駅の北東に位置し、車で10分、路線バス15分で到達する。鳥取東照宮はその名前のとおり、日光東照宮の分霊である因幡東照宮として1650(慶安3)年に建立された。   鳥取藩を代々率いた池田家は徳川家康の信任が厚く、また、初代藩主池田光仲は家康の曾孫であったことから分霊が許されたのである。造営には日光東照宮を手が...