宗像大社むなかたたいしゃ

天孫降臨のとき、天照大神の神勅により奉斎されたと伝える神社で、天照大神の御子神である3柱の女神を3つの神社に祀る。玄界灘の孤島・沖ノ島には田心姫神を祀る沖津宮が、神湊海岸沖の大島には湍津姫神を祀る中津宮が、そして宗像市田島には市杵島姫神を祀る辺津宮があり、総称して宗像大社という。
 全国に散らばる宗像三神を祀る神社の総本宮である。全島が沖津宮の境内である沖ノ島は、大和朝廷によって皇室・国の繁栄を祈る国家祭祀が行われた古代祭祀遺跡が現存。4・5世紀の祭祀遺品が約8万点も出土しており、今も神主唯1人で祀る神域で、手つかずの深い原生林におおわれている。なお、出土品は辺津宮境内にある神宝館で収蔵、一部は展示されている。また、女神は「道主貴(みちぬしのむち)」ともいい、あらゆる道を司る神であるところから、交通安全祈願に参る人も多い。
 出光興産創業者である出光佐三が、戦前の荒廃した宗像大社をうれい、再興のために私財を投じて尽力したという逸話もある。
 2017年には神宿る島・宗像沖ノ島と関連遺産群として世界文化遺産*に登録された。
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みどころ

辺津宮の本殿は天正6(1578)年の再建で、杮葺きの屋根、五間社流造の建物。拝殿は天正18(1590)年の再建で、同じく杮葺きの屋根をもつ切妻妻入造。ともに国の重要文化財に指定されている。辺津宮では、ぜひ最奥まで足を延ばし、高宮をお参りしたい。ここは古代祭場を今に伝える空間。社殿はなく、神籬(ひもろぎ)を依代としているのが特徴的で、簡素ではあるが、非常に厳かな空気を感じられる。沖ノ島同様、自然崇拝の祈りの原形を感じることができる神聖な場所である。
 また、神宝館にも必ず訪れてほしい。一般の人の立ち入りを禁じ、守られてきた島からは、5世紀頃の純金製指輪、3世紀頃の三角縁神獣鏡をはじめ、貴重な遺物が数多く見つかっている。これら沖ノ島から出土した国宝(約8万点)の一部などが展示され、当地の計り知れない歴史の深さを知ることができる。
 大島にある中津宮は、海を見下ろす高台に立地する。長い階段を登り、門をくぐった先に、県の有形文化財にも指定されている社殿が現れる。周りを木々に囲まれており、森閑とした雰囲気があって良い。
 現在、沖ノ島は渡島が禁じられた聖域であり、神職以外は渡れない。大島にある遥拝所からは、晴れた日であればその姿を望むことができる。また、宗像大社辺津宮に隣接した道の駅・むなかた館では、沖ノ島関連の展示が充実し、常設の3Dシアターでは、島内の貴重な映像を見ることができ、島に渡れなくても充分に島の空気感を味わえる。
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補足情報

*世界遺産:世界遺産条約(1972(昭和47)年)に基づき、人類共通の宝物として未来の世代に引き継いでいくべき文化財や遺跡、自然環境として、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会により登録された有形の資産。文化遺産・自然遺産・複合遺産の3種がある。
関連リンク 宗像大社(WEBサイト)
参考文献 宗像大社(WEBサイト)
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会(WEBサイト)

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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