高遠のサクラたかとおのさくら

高遠は伊那市の東部。四方を山に囲まれたわずかな平地に民家が密集している。高遠城は明治維新までは内藤氏3万3,000石の城下町で、南信地方の中心であった。
 高遠城は築城技術に武田流兵法を取り入れた堅固な城であったが、明治維新時に藩校進徳館を残して本丸御殿や門、橋など城内の建物はすべて取り壊され、民間に払い下げとなり、1875(明治8)年に城跡の公園化が決定した。その後、高遠藩旧藩士らの手によって城下の「桜の馬場」から桜が移植された。
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みどころ

現在の桜は「タカトオコヒガンザクラ」という固有種で、1,500本以上。花びらの赤みが強いのが特徴で、春に城山に一斉に咲き誇り、「天下第一の桜」とも言われている。約140年前の明治初期に植えられた古木が約10本、樹齢50年以上のものが約1,000本ある。
 樹林は「県の天然記念物」で満開時には公園全体が薄紅色に染まり、白いソメイヨシノとは一味違った桜を楽しめる。見頃は4月上旬~中旬、城址公園がピンクに染まる花のシーズンには、多くの観光客が訪れる。(林 清)

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