熱海市は、県の東端、伊豆半島の基部に位置する。北東は神奈川県湯河原町、北は神奈川県湯河原町、南は伊東市、西は函南町、伊豆の国市に接している。東は相模灘に面し、沖合約10kmに周囲4kmの初島がある。
 JR東海道本線が通り、熱海駅からJR伊東線が分岐。東海道新幹線が通じる。国道135号、伊豆スカイライン、熱海ビーチライン、熱函道路、伊豆箱根を縦横に走る路線バスが延びる。
 富士箱根伊豆国立公園に指定されている本市西にある箱根外輪山から続く尾根筋から東の相模灘に向かって傾斜した起伏ある斜面にまちが発展。市街地はかつての熱海火山の火口底の一部。
 市街地は、岩戸山、日金山、鷹ノ巣山、玄岳、朝日山の山なみと海岸の間の平たんな部分を中心に、海岸から山腹にかけて階段状に発達。
 断崖の海岸線、温暖な気候、温泉をもつ熱海は「東洋のリビエラ」とよばれる。
 1891年(明治24)町制施行。1937年(昭和12)多賀村と合併して市制施行。1957年(昭和32)網代町を編入。平安、鎌倉時代には阿多美郷といわれていた。熱海温泉の由来は古く、仁賢天皇のとき熱湯が海中にわいたといい、地名の起源とされる。古来、大湯、清左衛門湯、小沢の湯、風呂の湯、河原湯、左治郎湯、野中湯など熱海七湯が開かれ、武将たちの湯治の場となった。徳川家康は1597年(慶長2)初めて入湯、1604年熱海に滞在、以後将軍家へ献湯が行われた。江戸時代中後期には、民衆の湯治場として栄えた。当時、湯戸27軒が御汲場にあたり、献湯し、引き湯権、営業権を独占した。明治以来、著名な作家、画家、映画人が住むようになった。
 観光業が中心であるが、1990年代以降低迷が続く。農業はミカンを中心にする、観光みかん狩りが盛んで、漁業は網代港などでイワシ、サバ類を中心に年間約1,300tの水揚げがあり(2016年)、干物加工品が名物。
 日本の代表的な観光温泉都市。熱海温泉は毎分1万リットルを超える温泉が湧出。源泉の数は300を超え、一大歓楽街を形成している。泉質は海岸一帯にかけては塩化物泉、山の手は単純温泉、ほかに硫酸塩泉もある。しかし1990年代以降は旅行スタイルの変化や、バブル経済の崩壊などへの対応がうまくいかず、低迷している。観光資源は豊富で、『金色夜叉』で知られるお宮の松、姫の沢公園、熱海梅園と園内の中山晋平記念館、伊豆山神社、坪内逍遙が住んだ双柿舎などの名所、国宝多数を所蔵するMOA美術館などがあり、富士伊豆箱根国立公園の観光中心地でもある。ほかに、伊豆山温泉や、網代温泉も有名。

観光資源一覧

MOA美術館の写真

写真提供:MOA美術館

MOA美術館 (静岡県 熱海市 )

JR東海道本線・東海道新幹線熱海駅の北約2kmの丘陵地に建つ。1957(昭和32)年に開館した熱海美術館を前身としている。  1982(昭和57)年、創立者岡田茂吉*1の生誕100年を記念して、日本美術を中心とした美術品の展示、能や茶の湯などの推進、日本文化の情報発信などを目的とし、地上3階、地下1階、延べ床面積1万7,000m2の近代...

熱海温泉の写真

熱海温泉 (静岡県 熱海市 )

丘陵の中腹にあるJR東海道本線・東海道新幹線熱海駅から、相模湾に向いた傾斜地や海岸沿いの平坦地に、旅館やホテル、土産物店や飲食店などが所狭しと建ち並ぶ。熱海駅から海岸沿いの左手には、熱海温泉に隣接して「走り湯」で知られる伊豆山温泉*1もある。                                       ...

伊豆山神社の写真

伊豆山神社 (静岡県 熱海市 )

JR東海道本線・東海道新幹線熱海駅の東北約1.5㎞、小高い山の中腹にあり、境内は歌枕にもなった伊豆の御山「こごい(古々比)の森」*¹の一部で約13万2千㎡の広さがある。本殿は、「伊豆山神社前」バス停近く逢初橋の北側から石段の参道を登った鬱蒼とした巨木のなか標高170mのところに建ち、前面には相模湾が広がる。本殿は度重なる火災など...

熱海梅園の写真

写真提供:熱海市

熱海梅園 (静岡県 熱海市 )

JR東海道本線・東海道新幹線熱海駅から西へ約2km、丹那トンネル熱海口近くのゆるやかな山間に位置し、広さは44,000m2。1886(明治19)年、横浜の豪商茂木惣兵衛の出資により造られた歴史ある梅園で、現在は熱海市が管理している。  初川の渓流をはさんで、樹齢100年を越える古木を含め、60品種・469本の梅が咲き誇り、そのなか...