掛川市は、県南西部、大井川と天竜川のほぼ中央にある市。北から東は島田市、東は菊川市、御前崎市、西は袋井市、北から西は森町に接し、南は遠州灘に面している。
 JR東海道本線・東海道新幹線、国道1号、掛川バイパス、国道150号、東名高速道路、新東名高速道路が東西に通じ、東名高速道路の掛川インターチェンジがある。また、天竜浜名湖鉄道が市の西部に整備されている。
 河川が多く、太田川水系(原野谷川、逆川、家代川、垂木川、倉真川、初馬川など)、菊川水系(牛淵川、佐束川、下小笠川など)、弁財天川水系(西大谷川、大須賀新川、下紙川など)の3水系の河川が流れており、太田川水系の河川は袋井市で太田川に合流、菊川水系の河川は菊川市と本市の行政界付近で菊川に合流、弁財天川水系の河川は弁財天川に合流し、3水系とも太平洋に注ぐ。なお、市街地は旧掛川町付近、原野谷川、逆川およびその支流によって形成された段丘上にある。市域の大部分は丘陵地で、北部は赤石山脈の前山にあたる春野山地、中部は小笠山丘陵地で、小笠山丘陵地には学術的にも価値の高い自然植生地が残されている。南部は遠州灘に面しており、海岸に沿って平坦地が広がる。なお、遠州灘海岸はアカウミガメの産卵ふ化地として知られており、東西約 10kmにわたって白砂青松の直線的な美しい砂浜海岸が続いている。また、本市には大小あわせて 300 近くのため池があり、現在はレクリエーションの場として多くの市民に利用されている。
 1954年(昭和29)1町2村が合併して市制施行後、複数回の変遷を経て、2005年(平成17)2町を合併して現在の市域になる。『和名抄』の佐益郷は市域に相当し、古代・中世の東海道の宿駅、信州街道との交点として重視された。戦国時代、今川氏の家臣朝比奈氏が築城、のち山内一豊の修築、城下町整備があり、江戸時代には譜代掛川藩の城下町、東海道の宿場町として繁栄。江戸中期より茶の生産、集荷地であった。江戸後期以来、報徳運動の盛んな地で、大日本報徳社本部もある。
 市街地の周辺に水田や海岸砂地畑、茶畑が広がる。工業は茶関連の紙袋、茶箱製造があり、名産葛布、別珍の織物を主にしてきたが、最近は楽器、電気機器、化粧品工場のほか、工業団地エコポリスに薬品、コンピュータ関連企業が進出。
 掛川公園内の掛川城御殿は国指定重要文化財、徳川霊廟(竜華院内)は県指定文化財。1994年には掛川城の天守閣が復原された(日本初の本格的な木造復原)。掛川城公園二の丸美術館、その隣に掛川市ステンドグラス美術館がある。このほか、大東地区に高天神城跡、大須賀地区に横須賀城跡がある。文学、伝説で有名な小夜ノ中山があり、獅子舞かんからまちは県指定無形民俗文化財。この他、加茂花菖蒲園やスポーツレクリエーション施設「つま恋」などがある。

観光資源一覧

掛川城の写真

掛川城 (静岡県 掛川市 )

JR東海道本線・東海道新幹線掛川駅の北700mにある。もともとの城は、15世紀の終わりごろに今川家の重臣朝比奈泰熈によって、現在の掛川*1城跡から北東500mほどにある掛川古城に築かれたが、16世紀の初め頃*2、現在地に移り、築城した。   1569(永禄12)年に武田信玄に追われた今川氏真が朝比奈氏を頼り掛川城に立てこもったものの、包囲...

掛川大祭の写真

写真提供:掛川市

掛川大祭 (静岡県 掛川市 )

3年に1度*1、干支の丑、辰、未、戌にあたる年の10月上旬に4日間にわたり行われる。掛川市内にある7神社(龍尾神社、神明宮、利神社、池辺神社、白山神社、津島神社、貴船神社)の氏子41町が参加する合同祭礼大祭で、約40の山車と龍尾神社の神輿渡御の露払いを務める瓦町の獅子舞「かんからまち」*2、仁藤町の「大獅子」*3、掛川宿当時を偲ぶ...

三熊野神社大祭の写真

写真提供:掛川市

三熊野神社大祭 (静岡県 掛川市 )

JR東海道本線・東海道新幹線掛川駅から南へ約10km、江戸時代は横須賀藩の城下町だった横須賀に三熊野神社*1がある。三熊野神社の創建は701(大宝元)年といわれ、神事祭礼は熊野信仰にしたがって行われてきた。  江戸時代に入り、踊りを中心とした祭礼も始まったといわれるが、現在の形式の原型が生まれたのは享保年間(1716~1735年)頃だ...

加茂荘花鳥園の写真

写真提供:加茂荘花鳥園

加茂荘花鳥園 (静岡県 掛川市 )

掛川市街の西郊、天竜浜名湖鉄道原田駅から東へ1.5kmにある。江戸時代からの古い庄屋屋敷*1が里山を背に白い土塀に囲まれて立ち、この屋敷の前庭の約1万m2の敷地には、ハナショウブ他、ハスやサイレンなどが栽培されている。  同屋敷では、花菖蒲は古くから厄除けとして作られていたと伝えられ、明治初期には門前に拡張して花菖...