県西部にあり、東は射水市、南は砺波市、小矢部市、西は石川県の宝達志水町、津幡町、北は氷見市に接し、北東は富山湾に接する。
 あいの風とやま鉄道(旧、JR北陸本線)が通じ、JR氷見線、城端線を分岐するほか、第三セクターの路面電車万葉線(旧、加越能鉄道)、国道8号、156号、160号、415号、能越自動車道が通じる。2015年(平成27)北陸新幹線の開業に伴い、新高岡駅が開業した。
 富山湾に臨む商工都市。市内の西側は山間地域で西山丘陵や二上山が連なり、北東側は富山湾、東側は庄川・小矢部川によって形成された良質な地下水を有する扇状地が広がる。県内第2の都市であり、東西方向を結ぶ北陸新幹線と北陸自動車道、南北方向を結ぶ東海北陸自動車道と能越自動車道が交差する広域交通ネットワークの十字路に位置。また、本市から放射状に伸びる鉄道によって県西部の全市と連絡しており、交通、経済、文化、観光等の面で県西部の中核都市としての役割を持つ。また、日本海側有数の良港である伏木富山港を擁し、「総合的拠点港」として環日本海交流の役割も担っている。
 1889年(明治22)市制施行。11回目の編入となる2015年(平成17)、福岡町を合併して現在の市域となる。桜谷古墳や江道横穴古墳など多くの古墳があり、県内でも早い時期から地方政権が成立していたとされている。慶長14年(1609)、加賀藩二代藩主・前田利長によって高岡城の城下町として開かれた。「高岡」の地名は、利長が「詩経」の一節「鳳凰鳴けり彼の高き岡に」から引用し、この地の繁栄を願って名付けたと伝えられている。小矢部川の河口左岸の伏木は古くから開けた地で、付近には国府跡、国分寺跡があり、江戸時代には年貢米の積出し港として栄えた。南部の戸出は江戸時代には藩の収納御蔵が置かれ、市場町でもあった。金屋町(現、砺波市庄川町)から職人を招いて諸役免除の特権を与え、鍋、釜をつくらせたことにより金屋鋳物業が誕生。第二次世界大戦後は鋳物の技術を基盤にしてアルミ工業がおこり、現在は全国一のアルミ加工業地として知られる。
 高岡銅器や高岡漆器は、高岡を代表とする伝統産業で、これを継承した、アルミ、化学・薬品、紙・パルプなどの近代工業が根付いている。旧福岡町では菅笠作りが有名で生産量は全国の9割以上を占め、現在では、デザイン性の高い新しいクラフト商品が次々と発表され、注目を集めている。ほかに、万葉米、はとむぎ、チューリップ球根・切花、さといも、りんご、ほうれんそうなどを特産する。
 高岡城跡は公園化され(高岡古城公園)、射水神社、市立の高岡市立博物館、体育館、小動物園がある。曹洞宗瑞龍寺は前田利長の菩提寺で、仏殿、法堂、山門は国宝、総門禅堂、回廊などは国指定重要文化財。高岡大仏は日本三大仏の一つ。二上山は中世の守山城があった地で、富山湾や立山連峰の展望がよく、能登半島国定公園となっている。二上山麓の伏木の勝興寺は越中真宗三大名刹の一つで、本堂、経堂、唐門などは国指定重要文化財。臨済宗国泰寺では6月の開山忌に虚無僧による尺八の法楽が行われる。国の史跡に桜谷古墳、重要文化財に伏木の気多神社本殿、江戸時代中期の豪農建造物武田家住宅がある。高岡城の城下町跡に残る土蔵造の町家や明治時代以降の洋風建築等が建ち並ぶ町並(高岡市山町筋)と、高岡鋳物の発祥地で鋳物師が集住して形成された金屋町の町並みはいずれも重要伝統的建造物群保存地区である。このほか、高岡市万葉歴史館、重要文化財の勝興寺、国泰寺、氣多神社、高岡大仏、高岡古城公園(高岡城跡)、雨晴海岸(おくのほそ道の風景地国指定名勝「有磯海」)、伏木北前船資料館、前田利長墓所、武田家住宅、菅野家住宅、佐伯家住宅(いずれも重要文化財)、ミュゼふくおかカメラ館、高岡御車山会館、藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー、鋳物資料館、土蔵造りのまち資料館などがある。関野神社の「御車山祭の御車山行事」は国の重要有形・無形民俗文化財、両方の指定を受ける国内5件のうちのひとつで、山・鉾・屋台行事としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。ほかに、伏木曳山祭「けんか山」、御印祭、戸出七夕まつり、高岡七夕まつり、福岡町つくりもんまつり、中田かかし祭、工芸都市高岡の秋、高岡万葉まつり「万葉集全巻朗唱の会」、日本海高岡なべ祭りなどがおこなわれる。日本の渚百選に選ばれた雨晴海岸からは、海越しに3000m級の立山連峰の大パノラマを見ることができる。

観光資源一覧

勝興寺の写真

勝興寺 (富山県 高岡市 )

雲龍山勝興寺は、JR氷見線の伏木駅の西に立地する浄土真宗本願寺派の寺院である。1471(文明3)年、本願寺8世蓮如上人*が越中布教のため、現在の南砺市福光土山に開いた土山御坊が始まりと言われている。土山御坊は、蓮如の子孫が代々住職を務めるなど、本願寺と血縁関係のある寺院として強い勢力をもった。寺号の由来は1517(永正14)年、...

瑞龍寺の写真

瑞龍寺 (富山県 高岡市 )

瑞龍寺は、あいの風とやま鉄道高岡駅の南、徒歩約10分。曹洞宗の寺院で、加賀2代藩主前田利長の跡を継いだ弟で3代藩主の利常が兄の菩提を弔うために建立したものである。隠居した利長は、当初富山城を隠居所としたが、火災により高岡に移り、この地で亡くなった。その後、利常は加賀藩御大工山上善右衛門嘉広に命じて七堂伽藍の大寺院を建立...

高岡市金屋町の町並みの写真

高岡市金屋町の町並み (富山県 高岡市 )

金屋町の町並みは、あいの風とやま鉄道の高岡駅から北西方向に20分ほど歩いたところにある。2012(平成24)年に重要伝統的建造物群保存地区にも指定された。保存地区は、東西約140m、南北約450m、面積約6.4万m2。高岡の開祖、加賀前田家2代当主前田利長が、城下の産業発展を図るために砺波郡西部金屋から7人の鋳物師を招いたこと...

高岡御車山祭(高岡御車山祭の御車山行事)の写真

高岡御車山祭(高岡御車山祭の御車山行事) (富山県 高岡市 )

高岡の御車山行事は、1609(慶長14)年に前田利長が高岡に城を築いて町を開いたとき町民に御所車を与え、関野神社の春祭(御車山祭)に山車として神輿の巡行に伴って奉曳したのがはじまりといわれている。利長が与えた御所車は、父利家より譲り受けたものだが、伝承では、1588(天正16)年に豊臣秀吉が後陽成天皇を京都聚楽第に行幸を仰いだ...