南砺市
印刷する県南西端にあり、東は富山市、南は岐阜県の飛騨市、白川村、西は石川県の金沢市と白山市、北は砺波市に接している。
JR城端線が通じる。国道156号、304号、471号が通り、ほぼ中央部を南北に走る東海北陸自動車道の福光・五箇山の2インターチェンジがある。
市内には小矢部川と支流の山田川、庄川と支流の利賀川、神通川支流の百瀬川などがほぼ北流。北部に小矢部川、庄川の扇状地が広がり礪波平野の一角を占める。この平野部では水田地帯の中に美しい「散居村」の風景が広がり、独特の集落景観を形成している。面積の約8割が白山国立公園等を含む森林で、石川県境に医王山、大門山、笈ヶ岳、岐阜県境に人形山、三ヶ辻山、富山市との境に金剛堂山、水無山などの1,500mを超える山々が聳える。庄川の上流は五箇山とよばれる。城端、平、上平、利賀、福光の各地域は特別豪雪地帯に指定されている。
2004年(平成16)4町4村が合併して市制施行。歴史は古く、立野ヶ原台地から約3~2万年前の旧石器時代を中心とする遺跡が発掘されて大量の石器が出土しているほか、縄文時代の竪穴住居跡なども確認されている。中世には瑞泉寺が建立された。江戸時代は加賀藩領として推移し、平野部では新田開発が盛んに行われた。城端町は一向宗善徳寺の寺内町から門前町、絹業、市場町として発達。井波町は絹業や五箇山との交易拠点、福野は六斎市を中心とした在郷町、福光村は金沢城下に通じる二俣越などに沿った在郷町として賑わった。
市内の産業構造は、平野部と山間部で異なり、平野部はアルミニウム、橋梁・建築建材、工作機械等を中心とした製造業、山間部では建設業や観光産業などサービス業となっている。農業は、良質な米の産地であるほか、干柿、里芋、そば、赤かぶ、チューリップ球根、電照菊などを特産する。また、国の伝統的工芸品に指定されている「井波彫刻」、「五箇山和紙」のほか、安土桃山時代から続く絹織物、そしてプロ野球選手が愛用する木製バットの製造といった地場産業の振興や、アニメ制作や次世代ロボットの生産などの新産業創出、起業家支援にも力を入れている。
立野ヶ原には旧石器時代の遺跡が点在。北西端の人母下山遺跡は縄文時代早期の遺跡として著名で、井口遺跡は縄文時代後期の大集落跡(井口式土器の標式遺跡)。五箇山でも草期から晩期の土器片や石器類などが出土している。聖武天皇の勅願寺と伝える安居寺(木造聖観音立像は国指定重要文化財)のほか、高瀬遺跡(国指定史跡)などがある。五箇山は岐阜県白川郷とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコ世界文化遺産に登録されている。ほかに、平家の落人の哀愁を奏でる「麦屋節」や、平安時代に成立した田楽が起源とされる「こきりこ」などの「五箇山民謡」、家並みが美しい「越中の小京都・城端」、板画家棟方志功の住居「愛染苑」と氏の作品が展示される「福光美術館」、瑞泉寺門前の古い町並みから木槌の音が響く「信仰と木彫りの里・井波」などがある。北西部は医王山県立自然公園、南西部は白山国立公園、南部は五箇山県立自然公園、南東部は白木(しらき)水無県立自然公園に含まれる。祭事では城端神明宮祭の曳山行事(国指定重要無形民俗文化財)が有名で、山・鉾・屋台行事としてユネスコ無形文化遺産に登録されている。福光地域では5月の連休に行燈が練り回る「福野夜高祭」や、絢爛豪華な曳山と江戸情緒あふれる庵唄が響く「城端曳山祭」が催される。また、夏には、福光ねつおくり七夕祭り、ワールドミュージックの祭典「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」、秋にはむぎや祭、こきりこ祭り、南砺菊まつり、冬には世界遺産のライトアップなどをおこなう南砺利賀そば祭りがおこなわれる。市内には3つのスキー場のほか、「桜ヶ池クアガーデン」や、庄川・小矢部川水系の温泉施設もある。また、1976年(昭和51)に早稲田小劇場(現在の劇団SCOT)が利賀に活動拠点を移して以降、利賀は演劇の国際的拠点となり、富山県利賀芸術公園には合掌造りを改造した劇場などの施設があるほか、夏には利賀演劇人コンクールが行われている。
観光資源一覧

写真提供:一般社団法人 砺波市観光協会
砺波平野の散居村(散村) (富山県 砺波市 / 富山県 南砺市 )
富山県の西部に位置し、庄川と小矢部川によって作られた約220km2の扇状地・砺波平野では、50~100mほどの間隔で屋敷林に囲まれた7,000戸を超える農家が点在しており、このような集落形態を散村と呼んでいる。富山県内では「散居村(さんきょそん)」と呼んで親しまれてきた。 その成り立ちは、それぞれの農家が家の周りを開拓...

写真提供:井波別院瑞泉寺
井波別院瑞泉寺 (富山県 南砺市 )
井波別院瑞泉寺は、富山県南砺市(旧井波町)にある1390(明徳元)年、本願寺第5代の綽如(しゃくにょ)によって開かれた浄土真宗の真宗大谷派寺院である。明から送られてきた難解な国書を綽如が解読したことから、後小松天皇より才と功績を認め、一寺寄進を申し出られたと伝わる。その後は北陸の浄土真宗信仰の中心としての役割も果たすとと...

五箇山の合掌造り集落 (富山県 南砺市 )
五箇山は、富山県の西南端部、庄川の上流および支流利賀川に沿う地域で、上梨谷・下梨谷・赤尾谷・小谷・利賀谷の5つの谷間(やま)の総称といわれる。1,500m級の山々に囲まれた豪雪地で、合掌造りの家屋で知られ、岐阜県の白川郷荻町とともに相倉集落、菅沼集落がユネスコ世界遺産に登録されている。 合掌造りは豪雪地帯である五箇山・...
城端曳山祭(城端神明宮祭の曳山行事) (富山県 南砺市 )
城端曳山祭は城端神明宮の春の例祭として、5月4日に宵祭、5月5日に本祭が執り行われる。その起源は、1717(享保2)年に神輿がつくられ獅子舞や傘鉾の行列が始まり、1719年には曳山が創始され1724年には神輿の渡御にお供したと伝わる。城端曳山祭の舞台である城端は、砺波平野の南端に位置しており、浄土真宗大谷派の城端別院善徳寺の寺内町と...