桜島さくらじま

鹿児島湾(錦江湾)を隔てて鹿児島市街の対岸約4kmにある火山島。桜島一周は約36km、車で約1時間。島といっても1914(大正3)年の噴火で大隅半島と陸つづきになっている。一つの山に見えるが、中央に北岳(1,117m)・中岳(1,060m)・南岳(1,040m)が南北に並ぶ成層火山*で、南岳は現在も活動を続け、断続的に黒い噴煙をあげて灰を降らせている。西岸の袴腰(はかまごし)や東岸部には溶岩原が広がり、その中を一周道路が白く線を描いて延びている。南岸には古里(ふるさと)温泉が湧き、島全体が火山の模型のようでもある。
 世界的にみても最も活発な幼年期の成層火山で、約26000年前に噴火して北岳が生まれ、約5000年前まで活動。その後、火口の位置が南にずれて約4500年前に南岳の活動が始まり、現在まで続いている。これまでに17回の大規模な噴火があったが、なかでも1476(文明8)年、1779(安永8)年、1914(大正3)年の噴火が大きく、そのたびに島は大きく形を変えている。1914(大正3)年の大噴火では西と南東側に安山岩質の溶岩流が多量に流出し、瀬戸海峡を埋めて大隅半島と陸つづきになり、かつての横山地区は埋没、そのため6,000人が島外へ移住した。1946(昭和21)年には南岳8合目の噴火があり、東部の黒神(くろかみ)地区の一部が埋まった。
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みどころ

桜島の特徴は、活火山から約4kmの所に、60万人もの人口を抱える都市があり、世界最高レベルの火山観測体制のもと、活火山と都市が共生している点だ。桜島のふもとにも集落があり、人々の暮らしがある。現在の桜島には約4,000人が暮らし、主に農業と漁業を営んでいる。
 この桜島は鹿児島県の人にとって「見るとほっとする」存在だ。「よそから帰ってきて、桜島が見えると、鹿児島に帰ってきたとほっとする」と話す人は多い。天気予報では毎日、桜島上空の風向きが流れ、それによって洗濯物を干すかどうかを決めるそうだ。地元には火山と共生する知恵が生きている。
 黒神方面から見ると山の形が変わり、2つの火口が富士山のような形に見える。鹿児島市内の仙巌園や城山から眺める姿も、また美しい。
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補足情報

*成層火山:中心火口から噴出した溶岩流と火山砕屑物が交互に積み重なってできた円錐形の火山。火口は山体に比べて小さい。
*鹿児島港からのフェリーは日中10~20分おきに出航し、約15分で着く。桜島のフェリー乗り場は新しくなり、船を待つ間にカフェに立ち寄ったり、観光情報を仕入れることもできる。手軽に観光するには、桜島港~湯之平展望所を循環し、いくつかの展望所を回る「サクラジマアイランドビュー」バスが便利。大正噴火のすさまじさを伝える「黒神埋没鳥居」方面に行くにはレンタカーがよい。
関連リンク 桜島・錦江湾ジオパーク推進協議会(WEBサイト)
参考文献 桜島・錦江湾ジオパーク推進協議会(WEBサイト)

2020年09月現在

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