鹿児島県は、九州の南端にあり、総面積は約9,187 km2で、薩摩半島、大隅半島の二つの半島と多くの離島からなっている。全国でも有数の離島県で、南北は約590km、東西は約272kmに及ぶ。19市20町4村から構成され、県庁所在地は鹿児島市である。
 県名は県庁所在地の名称に由来する。古くは桜島のことを鹿児島と呼んでいたという。鹿児島そのものの名の由来は、野生の鹿の子が多く生息していたからとか、火山を意味するカグという言葉からとか、多くの水夫(かこ)が住んでいたからとか、様々な説がある。
 鹿児島県は、小さな山脈や河川がとても多く、平野部は限られている。2,643kmに及ぶ変化に冨んだ海岸線があることが大きな特徴となっている。県全土が火山灰堆積物に覆われており、約半分は軽くて灰色の火山灰のシラス台地である。
 気候は、温帯と亜熱帯にまたがるが、九州最高峰の山がそびえる屋久島には冷温帯の一面も存在する。
 鹿児島県は、広大な県土の中に、美しい自然環境が織りなす四季折々の景観、特色ある島々、奥深い歴史を感じさせる名所、良質で豊かな温泉など、魅力ある観光資源を豊富に有している。1993(平成5)年5月には「屋久島」が世界自然遺産に、2015(平成27)年7月には「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されている。

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鹿児島県内の資源一覧

霧島山の写真

霧島山 ( 宮崎県 えびの市 / 宮崎県 小林市 / 宮崎県 都城市 / 鹿児島県 霧島市 )

宮崎県と鹿児島県にかけて広がり、最高峰は標高1,700mの韓国岳(からくにだけ)。獅子戸岳(ししこだけ)、新燃岳(しんもえだけ)、中岳(なかだけ)、高千穂峰(たかちほのみね)、白鳥山(しらとりやま)、甑岳(こしきだけ)など20以上の山からなる火山群の総称である。やわらかな山容に神秘的な火口湖を複数抱いているのも特徴で、大浪...

霧島山のミヤマキリシマの写真

写真提供:霧島市

霧島山のミヤマキリシマ ( 宮崎県 えびの市 / 鹿児島県 霧島市 / 宮崎県 他 )

樹高は1mほど。ツツジの一種で九州各地の高山に生息する。紫紅色、桃色、薄紅色の花をつける。命名は日本を代表する植物学者の牧野富太郎博士。1909(明治42)年に霧島へ新婚旅行に訪れた折に発見した。 開花時期は、高千穂河原(たかちほがわら)が5月下旬、韓国岳(からくにだけ)山頂が6月上旬。

蒲生のクスの写真

蒲生のクス ( 鹿児島県 姶良市 )

樹齢1500年以上と推定される日本一大きなクス。蒲生八幡神社の境内に堂々とした姿を誇っている。根回り33m、幹回り24.2m、樹高33m。幹の西側に人が入れるほどの開口があり、内部には約8畳分の空洞ができている。幹が空に向かって大きく張り出し、枝葉がよく茂っていて壮観だ。  蒲生八幡神社は1123(保安4)年、蒲生院の領主であった蒲生上...

曽木の滝の写真

写真提供:伊佐市曽木の滝観光案内所

曽木の滝 ( 鹿児島県 伊佐市 )

幅210m、高さ12mの壮大なスケールを誇る滝。二度の火山の噴火によって火砕流が堆積。そこに湖ができ、川内川の浸食によって湖の端が削られてできたといわれている。

忠元公園のサクラの写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

忠元公園のサクラ ( 鹿児島県 伊佐市 )

小高い丘にある忠元公園の敷地を囲むように、約700本のサクラが植えられている。この公園には芝生広場、展望台、チビッコ広場、遊歩道が整備されており、市民の憩いの場となっている。3月下旬から4月上旬にかけてサクラが満開になるころには、千数百個の提灯が灯り、夜桜見物の花見客でにぎわう。  公園内には島津家随一の武将、新納忠元(...

藺牟田池の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

藺牟田池 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

飯盛山の噴火でできた火口部に水がたまってできた火山湖で、直径約1km、周囲は約4kmの円形をしている。飯盛山をはじめとする6つの外輪山に囲まれている。最大水深は約3mと火口湖*としては浅い。湖の北西部は泥炭層が堆積し、低層湿原になっている。珍しい浮島*があり、泥炭形成植物群落*として天然記念物の指定を受けている。  湖岸に沿...

入来麓武家屋敷群の写真

入来麓武家屋敷群 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

鎌倉時代からの領主、入来院(いりきいん)氏が築城した清色(きよしき)城を中心に広がる、山と川に囲まれた武家屋敷集落跡。城のすそ野に家臣の住まいを配置する「麓」*を形成し、集落へと発展した。山、川、田などの環境が一体となり、屋敷の配置や区割り、野石を使った美しい玉石垣や生垣、武家屋敷門(茅葺門)、大手門前の濠や広馬場...

新田神社の写真

写真提供:新田神社

新田神社 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

薩摩川内市街の北西、うっそうとした老樹が茂る神亀山とよばれる小山の頂にある、日本神話に登場するニニギノミコトを祭る神社。枚聞神社とともに薩摩国の一の宮である。本来、一の宮は一国に一社だが、新田神社は島津氏によって一の宮と認められた。  大鳥居をくぐり、社殿まで行くには一直線に続く322段の石段を上る。御神木のクスをはじ...

薩摩国分寺跡の写真

写真提供:薩摩川内市川内歴史資料館

薩摩国分寺跡 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

741(天平13)年、聖武天皇の命により、鎮護国家を願って全国に建立された国分寺*の一つ。川内川の右岸の台地にあたり、その敷地は南北約130m、東西約118mと推定され、その区域内に国分寺の建物が立っていたことがほぼ判明している。発掘調査は1968(昭和43)年から始まり、金堂跡、掘立柱の建物跡、講堂基壇跡、塔跡、西金堂跡などの遺構が...

甑島の断崖の写真

甑島の断崖 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

東シナ海に浮かぶ甑島は、上甑島、中甑島、下甑島の3島が南北に連なっている。下甑島を中心に、島の西岸には断崖や奇岩が続いており、観光船で見学できる。一番古いもので約8000万年前、白亜紀から古代三紀の地層が断崖・奇岩を形成している。断崖の形から、「門口(もんぐち)」「鶴穴」「壁立」「ローソク岩」「鷹の巣」などユニークな名前...

長目の浜の写真

長目の浜 ( 鹿児島県 薩摩川内市 )

上甑島の景勝地。島の北西部の山すそが風や波によって崩れ落ち、潮風の力でつくられた幅約50m、長さ約4kmの砂州状の弓型の浜。その浜の内側に、なまこ池、貝池、鍬崎池(くわざきいけ)の大小3つの池と、外側に須口池がある。それぞれの池で生態系が異なり、海水と淡水の二層になっているなまこ池にはナマコや魚介類が生息し、貝池はその名の...

開聞岳の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

開聞岳 ( 鹿児島県 指宿市 )

薩摩半島の最南端に位置する標高924mの独立峰。縄文時代からたびたび噴火を繰り返してきた活火山で、885(仁和元)年の噴火で今の姿になり、現在は活動を停止している。日本百名山*のひとつ。山全体が樹木におおわれていて、その美しい円錐形の山容から薩摩富士ともよばれる。崖となって落ちる海側とは対照的に、陸側はゆるやかな裾野が広が...

池田湖の写真

池田湖 ( 鹿児島県 指宿市 )

薩摩半島の南東部にある、九州最大の湖。周囲15km、水深233m。約5500年前に開聞岳の噴火によって池田火山が陥没してできたカルデラ湖。湖の北西側に駐車場があり、湖岸に開聞岳を望む景勝地でもある。一帯は四季折々の花がきれいに咲いている。北西岸を除いて湖の周囲のほとんどが急崖。湖水は藍色に澄んでいる。

指宿温泉郷(指宿、山川伏目海岸)の砂むし温泉群の写真

指宿温泉郷(指宿、山川伏目海岸)の砂むし温泉群 ( 鹿児島県 指宿市 )

20余りの湧出地区がある、九州を代表する温泉郷のひとつ。なかでも特徴的なのが、世界でも珍しい海岸から自然湧出する温泉の熱を利用した天然の「砂むし」場があること。体を砂の中に埋めての砂むし湯治が300年以上前から行われている。現在、砂むしを行っているのは2か所。摺(すり)ガ浜と山川伏目(やまがわふしめ)海岸で、いずれも泉質...

枚聞神社の写真

写真提供:枚聞神社

枚聞神社 ( 鹿児島県 指宿市 )

古来より薩摩一の宮*として、地元の人々から篤く信仰されてきた神社。特に、交通・航海の安全や、漁業守護の神として崇敬されている。縁起は定かでないが、現在の社殿は1600(慶長5)年に島津義弘が創建し、のちに改修された。  開聞岳を仰いで参拝するために北向きに建てられた社殿は、総漆塗り。元々は開聞岳をご神体とし、今も開聞岳の...

桜島の写真

桜島 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

鹿児島湾(錦江湾)を隔てて鹿児島市街の対岸約4kmにある火山島。桜島一周は約36km、車で約1時間。島といっても1914(大正3)年の噴火で大隅半島と陸つづきになっている。一つの山に見えるが、中央に北岳(1,117m)・中岳(1,060m)・南岳(1,040m)が南北に並ぶ成層火山*で、南岳は現在も活動を続け、断続的に黒い噴煙をあげて灰を降らせて...

尚古集成館の写真

写真提供:株式会社 島津興業

尚古集成館 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

島津家の歴史や文化と、集成館事業を紹介する博物館。仙巌園(せんがんえん)正面入り口の左手にあり、1865(慶応元)年に竣工した日本最古の石造洋式機械工場「旧集成館機械工場」の建物を使っている。島津家28代斉彬(なりあきら)は造船、造砲、ガラス製造、紡績などの事業を展開し、磯に一大工場群「集成館」を作った。薩英戦争でこれら...

照國神社の写真

照國神社 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

第11代藩主・島津斉彬(しまづ なりあきら)を祀る神社で、城山の麓に社殿を構えている。斉彬の死後、1864(元治元)年に創建され、別格官幣社に列格。建物は第二次大戦で戦災に遇い、拝殿は1958(昭和33)年に再建されたもの。鹿児島の総氏神様として県民に親しまれており、初詣には大勢の参拝客でにぎわう。境内に斉彬、久光の銅像が立ち、...

仙巌園の写真

写真提供:株式会社 島津興業

仙巌園 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

1658(万治元)年に、島津家19代光久(みつひさ)によって築かれた島津家の別邸。目の前に広がる錦江湾(きんこうわん)を池、桜島を築山に見立てた壮大な大名庭園で、敷地面積は約1万5千坪。島津家歴代に愛され、篤姫や西郷隆盛も訪れている。  28代斉彬がガス灯の実験に用いたと伝わる鶴灯籠や、琉球国王から贈られた望嶽楼(ぼうがくろ...

おはら祭の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

おはら祭 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

南九州随一の繁華街、鹿児島市の天文館一帯で例年11月2日、3日に開催される、鹿児島の秋の風物詩。南九州最大のお祭り。1949(昭和24)年に鹿児島市制60周年を記念して始まった。「おはら節」「鹿児島ハンヤ節」などのおなじみの民謡に合わせて市民が踊る。

いおワールドかごしま水族館の写真

写真提供:いおワールドかごしま水族館

いおワールドかごしま水族館 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

桜島と錦江湾を背景に、海沿いに立つ水族館。南北600kmにもわたる鹿児島県の海にこだわり、南西諸島のサンゴ礁域から、深海域のある内湾で、しかも活火山の海である錦江湾、そして黒潮の海まで、多様性に富んだ鹿児島の海と、そこに生きる生物たち、約500種30,000点を展示している。  人気の高い「黒潮大水槽」には、鹿児島沿岸で捕獲され...

桜島周辺地域の墓地の写真

桜島周辺地域の墓地 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

桜島の「赤水湯之平口」バス停を降りると、道路の脇が墓所になっている。ここの墓はすべて屋根付き。四隅の柱で屋根を支え、その中に墓石と墓碑銘が立つ。一見すると壁のない小屋が密集したミニ集落のようで、墓と墓の間は細い路地になっている。これは桜島の降灰から墓を守るための知恵で、垂水市など桜島から近い地域には、同じような屋根...

鹿児島市 維新ふるさと館の写真

写真提供:鹿児島市 維新ふるさと館

鹿児島市 維新ふるさと館 ( 鹿児島県 鹿児島市 )

明治維新を支えた西郷隆盛や大久保利通らが幼少期を過ごした甲突川(こうつきがわ)沿いに立つ歴史観光施設「維新ふるさと館」。2018(平成30)年にリニューアルオープンした。明治維新をわかりやすく、楽しく学ぶための歴史観光施設で、薩摩の偉人・英雄列伝や篤姫のコーナー、「翔ぶが如く」「西郷どん」の世界が楽しめる大河ドラマシアタ...

きびなご料理の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

きびなご料理 ( 鹿児島県 薩摩川内市 / 鹿児島県 阿久根市 / 鹿児島県 出水市 / 鹿児島県 南さつま市 / 鹿児島県 枕崎市 )

キビナゴは鹿児島県の沿岸に広く分布しており、昔から人々の食卓にのぼってきた。鹿児島県は現在、キビナゴを市場に流通させている数少ない地域の一つだ。身がやわらかいので手開きにして、刺身を酢味噌で食べたり、南蛮漬けがポピュラー。

鹿児島の黒豚料理の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

鹿児島の黒豚料理 ( 鹿児島県 鹿児島市 / 鹿児島県 他 )

およそ400年前に、島津家久により琉球から移入されたのがかごしまの黒豚の起源とされる。明治初期にはイギリスから、肉質の良いバークシャーが導入され、以来、品種改良が進められてきた。昭和30年代半ばに経済効率のよい白豚が導入されて、一時期、黒豚頭数が激減したが、生産者をはじめとする関係者の努力で徐々に回復。今では全国的にもっ...

出水のツルの写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

出水のツル ( 鹿児島県 出水市 )

出水は日本最大のツルの渡来地。出水市の北西部、八代海に臨む出水平野の荒崎地区一帯に、毎年10月中旬になるとシベリア方面から多種類のツル*が渡来してくる。12月下旬から1月上旬の間が最も数を増し、ナベヅルを中心に、マナヅル、クロヅル、カナダツルなど、多い年は7種類、1万羽以上がやってくる。翌年2~3月の北帰行までの間、ツル保...

出水麓の町並みの写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

出水麓の町並み ( 鹿児島県 出水市 )

鹿児島の最北部、肥後藩との藩境にあった出水麓*は、重要な防衛基地のひとつ。薩摩藩の「外城」として藩内で最初に築かれ、規模も最大だった。出水麓には、3,000人~5,000人の武士たちが暮らし、整然と区画された武家屋敷が立ち並んでいた。碁盤の目のような町割りや、川石を積み上げた石垣、緑の生垣など、今も400年前と変わらぬ風景を残し...

千本イチョウの写真

千本イチョウ ( 鹿児島県 垂水市 )

園主である中馬夫妻*が30年をかけて植えたというイチョウが、季節になると黄金色に染まり人々を魅了する垂水市の名所。先代から受け継いだ山を開墾し、夫妻が植えたイチョウは1,200本以上になる。

弥五郎どん祭りの写真

写真提供:曽於市観光協会

弥五郎どん祭り ( 鹿児島県 曽於市 )

身の丈4.85mの弥五郎どんが、岩川八幡神社の境内で目を覚まし、その後、市街地を練り歩く。鹿児島県三大祭の一つとされ、900年の伝統がある。弥五郎どんは、隼人の首領、あるいは六代の天皇に仕えたという武内宿禰(たけのうちのすくね)がモデルと言われるがはっきりしていない。例年11月3日に開催される。

坊津町のソテツの写真

坊津町のソテツ ( 鹿児島県 南さつま市 )

沖縄から奄美大島にかけて自生する亜熱帯植物、ソテツ。自生地の北限は九州の南端、薩摩半島および大隅半島の南部の海岸を望む岩地である。南さつま市坊津町、指宿市山川、肝属郡(きもつきぐん)南大隅町佐多・肝付町(きもつきちょう)内之浦に自生しているソテツが国の天然記念物に指定されている。  薩摩半島の西南端に位置する南さつ...

知覧の茶畑の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

知覧の茶畑 ( 鹿児島県 南九州市 )

薩摩の小京都といわれる知覧町は、薩摩半島中南部に南北に長い町域をもち、南は海に面している。  ここは日本有数の茶の産地として有名で、黒色火山灰土壌の台地で茶の栽培が始まったのは明治初期。低木の茶なら台風の影響が少ないと考え、紅茶品種の栽培から始まり、その後、緑茶品種に変えて生産量が増加した。茶葉を刈る大型機械の導入...

知覧特攻平和会館の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

知覧特攻平和会館 ( 鹿児島県 南九州市 )

第二次大戦末期、知覧飛行場は特攻基地となり、爆弾を装着した飛行機もろとも敵艦に体当たりする特攻機が、数多くここから飛び立って二度と戻らなかった。その飛行場の跡地に立つのが「知覧特攻平和会館」。戦死した若い特攻隊員たちの遺品、遺影や遺書など関係資料を展示し、海中から引き揚げられたゼロ戦も置かれている。語り部による特攻...

知覧武家屋敷庭園の写真

写真提供:知覧武家屋敷庭園 有限責任事業組合

知覧武家屋敷庭園 ( 鹿児島県 南九州市 )

江戸時代、武士の数が多かった薩摩藩は、領地を外城(とじょう)とよばれる地区に分け、地頭や領主の屋敷を中心に「麓」とよばれる武家集落をつくって統治していた。これは鹿児島城下に武士団を結集させず、分散して軍事拠点を複数つくるためでもある。外城は鹿児島県内に102カ所もあったが、なかでも知覧には武家集落、「麓」の典型的な姿が...

薩摩焼の里美山の写真

薩摩焼の里美山 ( 鹿児島県 日置市 )

日置市東市来町にある薩摩焼の里「美山」は、410年以上前に朝鮮半島より伝わった薩摩焼の里として歴史ある町。薩摩藩17代藩主の島津義弘が、朝鮮出兵のときに陶工を連れ帰り、島津藩の庇護のもとで開窯をしたのが薩摩焼の始まり。  薩摩焼には、白薩摩(白もん)と黒薩摩(黒もん)の2種がある。白もんは白い表面に貫入とよばれる細かなヒ...

吹上浜の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

吹上浜 ( 鹿児島県 いちき串木野市 / 鹿児島県 日置市 / 鹿児島県 南さつま市 )

薩摩半島西海岸、いちき串木野市から南さつま市にわたって広がる幅2~5km、全長47kmの大砂丘。砂丘内には薩摩湖をはじめ6つの堰止湖がある。浜に軽石が多いのも特徴で、白砂青松の海岸には根上がり松や砂に埋もれた老松が見られ、砂丘が移動することを物語っている。  砂丘のうちでもっとも砂丘らしい風景が展開するのは南さつま市金峰町の...

霧島神宮の写真

霧島神宮 ( 鹿児島県 霧島市 )

建国神話の主人公であるニニギノミコトが祀られている神社。創建は6世紀、最初は高千穂峰と火常峰(ひけふのみね:御鉢)の間にある背門丘(せとお)に建てられたといわれているが、霧島山の噴火による焼失と再建を繰り返し、500年以上前に現在の場所に移された。現社殿は1715(正徳5)年、薩摩4代藩主・島津吉貴(しまづ よしたか)が寄進し...

霧島国際音楽祭の写真

写真提供:公益財団法人ジェスク音楽文化振興会

霧島国際音楽祭 ( 鹿児島県 霧島市 )

2019(令和元)年に第40回を迎えた、"日本で最も歴史のある音楽祭"*。それが霧島国際音楽祭。2019(令和元)年も世界各地から80人余りの著名演奏家が集い、受講生を交えながら、2週間にわたって音楽の祭典を繰り広げられた。  世界中から集まる講師陣と、かつて音楽祭で学んだ第一線の音楽家たちが中心となって行う良質のコンサート。加え...

霧島温泉郷の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

霧島温泉郷 ( 鹿児島県 霧島市 )

霧島連山の南麓に広がる温泉郷。新湯(しんゆ)・湯之谷・関平(せきひら)・栗川(くりかわ)・野々湯・丸尾・林田・硫黄谷・殿湯(とのゆ)の9つの温泉を総称したもので、硫黄泉を中心に、個性豊かな湯が楽しめる。硫黄谷温泉は単純硫黄温泉、新湯温泉は乳白色で古くから皮ふ病に効くといわれている。また、関平温泉は飲泉としても人気があ...

佐多岬の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

佐多岬 ( 鹿児島県 南大隅町 )

大隅半島の先端、北緯31度線に位置する本土最南端の岬。霧島錦江湾国立公園内にあり、佐多岬公園入口から亜熱帯植物の繁茂する道を抜け、御崎神社を経て、展望所までは800mほど歩く。展望所からは岬の先に広がる、太平洋、東シナ海、錦江湾の水平線の大パノラマが望める。晴天時には開聞岳や種子島などの島々も見える。  岬の南端から50m...

屋久島の森の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

屋久島の森 ( 鹿児島県 屋久島町 )

屋久島は鹿児島の南方、九州本土最南端佐多岬から南南西約60kmの洋上に位置する、ほぼ円形をした島。周囲約130kmで、その9割が森林。九州最高峰の標高1,936mの宮之浦岳をはじめ1,000m以上の高峰が40座以上あり、八重岳とよばれるほど山が連なる。  島の土台となっているのは、砂岩や泥岩などの堆積岩が重なった日向層群(熊毛層群)とよば...

縄文杉の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

縄文杉 ( 鹿児島県 屋久島町 )

胸高周囲16.4m、樹高25.3m、確認されている屋久杉の中でも最大級の老大木。1966(昭和41)年に島の役場職員により発見された。荒川登山口から約8kmのトロッコ道を歩き、約3kmの登山道を登りたどり着く、標高1,300mの地点にある。途中、登山道に入り約600mで、ウィルソン株がある。縄文杉の推定樹齢は2200年から7200年まで諸説ある。根の踏み...

弥生杉の写真

弥生杉 ( 鹿児島県 屋久島町 )

樹高26m、樹周8.1m。白谷雲水峡の一角にあり、付近では最大の屋久杉。推定樹齢は3000年。上部の枝分かれの様子や複雑な幹の形などから、木材としては向かないと江戸時代に切り残された代表的な屋久杉といえる。屋久杉にしては、比較的標高の低い位置にある。

紀元杉の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

紀元杉 ( 鹿児島県 屋久島町 )

標高約1,200mの町道淀川線(通称安房林道)にあり、屋久島で唯一、車窓から見ることができる屋久杉。樹高19.5m、胸高周囲8.1m、推定樹齢約3000年。ヒノキ、ヤマグルマ、アセビ、ヤクシマシャクナゲ、ナナカマドなどの植物が紀元杉に着生し、大きく育っている。根張りを保護するため、周囲は木製デッキが整備されている。

千尋の滝の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

千尋の滝 ( 鹿児島県 屋久島町 )

屋久島の南部本富岳(モッチョム岳、標高940m)の麓にかかる落差60mの滝。滝に向かって左側の250m×300mの巨大な岩盤が特徴的な、島を代表する滝のひとつ。壮大なV字谷の景観は、この島が海底のマグマの隆起で現われた花崗岩で覆われた島であることと、年間降雨量が多いことが関係している。島に降る大量の雨が、鯛ノ川(たいのこ)となって花...

大川の滝の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

大川の滝 ( 鹿児島県 屋久島町 )

島の南西部にある落差88m、幅約10mの滝。堆積岩が熱変成してできたホルンフェルス(変成岩)の傾斜のある岩盤を流れ落ちる。年間降雨量が多く、また勾配が急な地形により、大小無数の滝がある屋久島のなかでも、特に水量が多く、規模も大きい滝である。滝つぼも広さと深さがあり、すぐ近くまで歩いて行かれる。  県道78号線の近くにあり、...

宮之浦岳の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

宮之浦岳 ( 鹿児島県 屋久島町 )

標高1,936m。1,800mを越える山々が連なり「洋上のアルプス」とよばれる屋久島の最高峰であることはもとより、九州最高峰でもある。最南の日本百名山。  女性的な山容で、淀川登山口から登山道が整備されており、屋久杉の森、花之江河(はなのえごう)を抜け、標高1,700m前後で樹林帯を抜けると、その後はヤクザサとシャクナゲと花崗岩の巨...

永田岳の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

永田岳 ( 鹿児島県 屋久島町 )

九州一の宮之浦岳(1,936m)の北西に聳える、九州第二の高さを誇る標高1,886mの山。女性的な宮之浦岳とは対照的に花崗岩が露出した男性的な山容で、特に西側は岩壁で、深く永田川源流に落ち込んでいる。ローソク岩など切り立った岩峰が特徴で、南西側の大川(おおこ)源流には、屋久杉原生林や鹿之沢湿原が広がっている。新日本百名山のひと...

永田いなか浜のウミガメの写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

永田いなか浜のウミガメ ( 鹿児島県 屋久島町 )

ウミガメが産卵する浜が屋久島には何カ所かあるが、産卵数が多いのが永田浜だ。  屋久島の北西、永田川の河口に広がる3つの浜「前浜」「いなか浜」「四ツ瀬浜」を総称して永田浜とよぶ。島の奥岳から永田川の流れに乗って運ばれてくる風化花崗岩の砂によってできた2kmに及ぶ海岸で、2005(平成17年)年にラムサール条約*の登録湿地に指定...

花之江河湿原の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

花之江河湿原 ( 鹿児島県 屋久島町 )

淀川登山口から約4km、標高1,640mに位置する、日本最南端の高層湿原*。島の南部の集落から始まる各登山道(尾之間歩道、湯泊歩道、栗生歩道など)の合流ポイントでもあり、この地から宮之浦岳への登山道が一本化される。400mほど離れた場所に小花之江河がある。北に黒味岳を望む開けた地で、可憐な花を咲かせる高山植物が群生し、その間を清...

ウイルソン株の写真

写真提供:ネイチャーガイドオフィス まなつ

ウイルソン株 ( 鹿児島県 屋久島町 )

推定樹齢2000~3000年、江戸時代に木材用に切り倒されたといわれている屋久杉の大株。1914(大正3)年に屋久杉を調査し、大株を紹介したアメリカの植物学者ウィルソン博士にちなんで名付けられた。根回り32.5mの切株の中は10畳ほどの広さの空洞になっていて、泉が湧きだし、小さな流れをつくっている。付近はモミ、ツガの針葉樹、ヒメシャラ...

種子島宇宙センターの写真

写真提供:(C)JAXA

種子島宇宙センター ( 鹿児島県 南種子町 )

鹿児島本土最南端の佐多岬から南東約40kmに位置する種子島。島の南端にある種子島宇宙センターは、970万m2の敷地をもつ日本最大のロケット発射場だ。大型ロケット発射場、衛星組立棟などの設備があり、ロケットの組立、整備、点検、打ち上げ、人工衛星の最終チェックからロケットへの搭載、打ち上げ後のロケットの追跡まで一連の...

住用のマングロ―ブ林の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

住用のマングロ―ブ林 ( 鹿児島県 奄美市 )

マングローブは熱帯・亜熱帯の河口汽水域に生育する耐塩性植物の総称であり、それによって形成される林のことをマングローブ林という。  奄美空港から車で約70分南下した奄美市住用町に広がるマングローブ林は、住用川と役勝川(やくがちがわ)が合流する地帯にあり、沖縄県西表島に次いで日本で二番目に大きい。構成種はオヒルギとメヒル...

田中一村記念美術館の写真

写真提供:田中一村記念美術館

田中一村記念美術館 ( 鹿児島県 奄美市 )

1977(昭和52)年に奄美大島で69年の生涯を終えた日本画家・田中一村の作品を常設展示する美術館。奄美大島に19年間住むなかで完成させた彼の代表作ともいえる作品「不喰芋と蘇鐵」(くわずいもとそてつ)、「初夏の海に赤翡翠」(しょかのうみにあかしょうびん)、「海老と熱帯魚」などをはじめ、幼少期の南画に始まる彼の生涯にわたる一連...

金作原原生林の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

金作原原生林 ( 鹿児島県 奄美市 )

奄美市名瀬の市街地から車40分ほどのところにある原生林。イタジイ、イジュ、ヒカゲヘゴなどの亜熱帯特有の植物を観察しながら林道を歩くことができる。ルリカケスなど奄美の固有種である貴重な生物に出会えることも。  金作原原生林では、貴重な自然環境の保全のため、2019(平成31)年2月から「奄美群島認定エコツアーガイド(有料)」の...

あやまる岬の写真

写真提供:奄美市紬観光課

あやまる岬 ( 鹿児島県 奄美市 )

空港の北側の太平洋に突き出した岬で、奄美大島を代表する景勝地である。ゆるやかな起伏があやに織りなす毬(まり)のようであるところから、アヤマルの名が付いたといわれる。

湯湾岳の照葉樹林の写真

写真提供:宇検村役場観光課

湯湾岳の照葉樹林 ( 鹿児島県 宇検村 / 鹿児島県 大和村 )

湯湾岳は標高694m。奄美群島の最高峰だ。山頂一帯にはミヤマシロバイ、ミミズバイなどハイノキ属の樹木が4種も出現するなど注目すべき特徴をもった低木林が発達しており、貴重な亜熱帯性の照葉樹林として保護されている。  7合目付近にある宇検村の「湯湾岳公園」までは車で行くことができる。「湯湾岳公園」には展望台があり(2019(令和...

安木屋場のソテツ・バショウ群生地の写真

写真提供:龍郷町

安木屋場のソテツ・バショウ群生地 ( 鹿児島県 龍郷町 )

奄美大島の龍郷町、今井崎の西側に位置する安木屋場集落。集落の背後に控える神山「オダキ」の斜面に、ソテツとイトバショウの群落がある。  ソテツもイトバショウも島人の暮らしに深く関わってきた植物だ。イトバショウは芭蕉布の原料として、ソテツは実や幹のでんぷんを水でさらして毒を抜き、救荒食物として昔から島の人の命を支えてき...

徳之島の闘牛の写真

写真提供:天城町

徳之島の闘牛 ( 鹿児島県 徳之島町 / 鹿児島県 天城町 / 鹿児島県 伊仙町 )

農耕用の牛を使って、農村の娯楽として自然発生的に生まれた闘牛は、以前は年中行事の折などに行われていたという。年に3場所の定期的な全島大会(徳之島全域の牛が出場)と有志による不定期の大会が年間通して開催されている。闘牛を開催している地域は沖縄、宇和島などほかにもあるが、徳之島の闘牛はとくに熱気があることで知られている。

大金久海岸・百合ケ浜の写真

写真提供:ヨロン島観光協会

大金久海岸・百合ケ浜 ( 鹿児島県 与論町 )

大金久海岸は与論島最大級のビーチ。浅瀬でエメラルドグリーンの美しい海が目の前に広がる。百合ケ浜は、大金久海岸の沖合1.5kmに、中潮から大潮の干潮時に現れる砂浜。天候や潮の具合で現れる面積も形も異なる。絶好のシュノーケルポイントとして人気が高い。

田皆岬の写真

田皆岬 ( 鹿児島県 知名町 )

沖永良部島の北西端に突き出た岬で、黒潮に浸食されて隆起した垂直50mの大断崖が広がる。あたりは一面芝生におおわれたカルスト台地で、見下ろせば吸い込まれそうな青い海が広がっている。右手には沖永良部島の海岸線が続いており、晴れていれば徳之島も見える。

昇竜洞の写真

昇竜洞 ( 鹿児島県 知名町 )

「花と鍾乳洞の島」といわれる沖永良部島の地盤は、琉球石灰岩でできている。島のほぼ中ほどにある大山の麓を中心として、島には200から300もの鍾乳洞がある。代表格がこの昇竜洞で、1963(昭和38)年に山内浩教授率いる愛媛大学学術探検部によって発見された。  全長3,500mのうち、600mが観光洞として一般に公開されている。鍾乳石の発達...

大山水鏡洞の写真

写真提供:一般社団法人沖永良部島ケイビングガイド連盟

大山水鏡洞 ( 鹿児島県 知名町 )

「島の地下はすべて鍾乳洞」といっても過言ではないほど鍾乳洞が発達している沖永良部島では、洞窟を探検するケイビングツアー*が楽しめる。ケイビング目的で島を訪れる人も多い。ツアーで入れる代表的な洞窟は、海見洞、大山水鏡洞、水連洞、銀水洞などだが、初心者でも比較的入りやすいのが大山水鏡洞。ここは大山のふもとから海まで続く...