雲仙温泉うんぜんおんせん

長崎市内から車で約1時間30分、雲仙岳の南西麓、標高約700mに開ける高原温泉。古湯・新湯・小地獄に分かれ、1653(承応2)年に始まるといわれる古湯は無気味な噴煙を上げる雲仙地獄の北西付近にあって、繁華な旅館街を作っている。また、新湯は明治になって長崎に近いことから外国人の避暑地、高原リゾート*として開発され、雲仙観光ホテルなど*瀟洒なホテルが集まる所。雲仙温泉の中心部には湯けむりがモクモクと上がる雲仙地獄があり雲仙温泉の散策が楽しめる。
 小地獄は南に離れた森の中で、レトロな佇まいの共同浴場や、高岩山への登山口がある宝原園地などがある。
 高山植物が多く、5月のツツジ、10月の紅葉はみごとである。また、厳寒期の霧氷も圧巻。
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みどころ

日本第一号の国立公園内にあり、近くには橘湾の海岸線に広がる熱量日本一の小浜温泉もある。雲仙温泉からわずか約5kmの範囲内に、標高差700mのふたつの温泉地を有しており、一度の滞在でふたつの異なる泉質をもつ温泉地を楽しむことができる。また、周辺には雲仙岳(平成新山)や島原市などの見どころも多く、周遊して楽しめる。 
 雲仙温泉内の地獄地帯は遊歩道が整備されており、約60分ほどの地獄めぐりが楽しめる。途中には、新しく整備されたスポットがあり、雲仙地獄を五感で楽しむことができる。足を置くと地熱や噴気を体感できる休憩所「雲仙地獄 足蒸し(あしむし)」、地獄の蒸気を使って蒸しあげている名物温泉たまごを販売している「雲仙地獄工房」、周辺の地獄を見学しながら温泉たまごを楽しめる「雲仙地獄見台」(兼休憩所)などである。
 湯けむりとイルミネーションの幻想的な世界を楽しむ「雲仙灯りの花ぼうろ」のイベントが2月上旬から2月下旬に開催され、この期間の土曜日には花火が上がる。この他、湯にも地獄の物語(4~11月)、ONSENガストロノミー(11月)、白雲の池キャンプ場での様々なアウトドア体験コンテンツ(冬季を除く)などイベントや体験型ツアーなどが多数ある。
 共同浴場のひとつである小地獄温泉館は雲仙温泉の中心部から1.6km南にあり、歴史は古く、1731(享保16)年に湯治場として開かれた木造の趣のある建物で人気がある。
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補足情報

*外国人の避暑地、高原リゾート:長崎居留地に住んでいた外国人が上海で雲仙に関する新聞連載をスタート。これが話題となり新聞社が一冊の本にまとめ、雲仙のガイドブックとして発行、夏に訪れると涼しくてフレッシュな空気がひろがる楽園みたいなところがあるとも記述されていた。
*雲仙観光ホテル:雲仙は、古くから外国人避暑地として親しまれていた。昭和7年、外国人観光客誘致を目的に、国策として外国人向けのホテルが日本各地に建設されることになり全国で15軒のホテルが建てられた。そのうちの1軒で洋風建築のホテルの雲仙観光ホテルは1935(昭和10)年開業した。