雲仙岳(平成新山・普賢岳)うんぜんだけ(へいせいしんざん・ふげんだけ)

島原半島の中央部にあり、雲仙市と島原市の境界に位置している。標高1483mの平成新山を主峰とし、西側に連なる普賢岳、妙見岳・国見岳を含めて雲仙岳と総称している。また、絹笠山や九千部岳を含めることもある。山麓に雲仙温泉が湧き早くから観光地として開け、瀬戸内海などとともにわが国岳最初の国立公園の指定をうけている。また、ミヤマキリシマなどツツジの群落でも知られ、紅葉や12~2月の霧氷*など四季折々の山岳美を見せて、一年中観光客がたえない。普賢岳山頂は360度の展望が開け、島原半島を一望し、天草や遠く阿蘇の山なみを望む。
 普賢岳は、1990(平成2)年11月17日に198年ぶりに噴火し、1991年6月に発生した大規模火砕流では43人、1993年6月の火砕流でも1人が死亡し、被災家屋は251棟にも達した。平成新山は粘り気の強いデイサイトマグマが、火山の上に盛り上がってできた溶岩ドームで、ドームは成長とともに幾度かの崩落を繰り返した。現在、噴火活動は収まり、溶岩ドームは雄大な景観を持つ雲仙岳の一部となっており、国際地質科学連合(IUGS)により「世界地質遺産」の1つに選ばれた。
 植物群落が多く、特に有名なのがミヤマキリシマ*で、池ノ原・仁田峠・宝原園地などに多く見られる。ほかに、普賢岳の紅葉樹林*や野岳のイヌツゲ、地獄地帯のシロドウダンなどがあり、植生は豊かで野鳥類も多い。
 普賢岳の登山口は仁田峠から妙見岳ロープウェイで登り山頂まで1時間弱。このほか、仁田峠から普賢岳に直接登る人も多い。徒歩約1時間30分。噴火後崩壊していたが2012(平成24)年5月に雲仙普賢岳の新登山道が開通した。
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みどころ

普賢岳の登山は春のミヤマキリシマ、夏の新緑、秋の紅葉、冬の霧氷と一年中楽しめ、さらに頂上から見える、標高1483mの溶岩ドーム・平成新山はまさに絶景である。
 一般の観光客には普賢岳を展望する名所が仁田峠で、仁田峠循環道路という一方通行の道路で到達する。ロープウェイからの景観も迫力があるが、仁田峠の手前に第二展望所があり、ここからの火災流の跡なども見ごたえがある。
 島原市内には「がまだすドーム」(雲仙岳災害記念館)があり、1996年の噴火終息宣言まで、この地で何が起き、何が残ったのか、自然の驚異と災害の教訓を風化させることなく正確に後世へ残すために建設されたもの。火砕流や土石流の体験映像の大噴火シアターや火砕流のスピード映像の「火砕流の道」などがある。がまだすとは島原地方の方言で「がんばる」という意味という。
 また、島原市の西側のしまばらまゆやまロードの途中には「平成新山ネイチャーセンター」があり、普賢岳噴火で生れた平成新山をとても間近で観察できるとともに、普賢岳噴火災害によって荒廃した垂木台地の自然環境の回復の様子を直接観察し、学べる自然観察・学習施設がある。
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補足情報

*霧氷:濃霧が樹枝に凍りついて、花のようになったもの。氷点下になる冬の朝にみられる。
*ミヤマキリシマ:ツツジ科。長崎県の郷土の花で、ウンゼンツツジともいわれる。九州の高山に群生し、雲仙は標高700m以上にある。花は紅紫色で、4月下旬~5月下旬まで。雲仙にはほかにレンゲツツジやヒカゲツツジなどツツジの木が多い。
*普賢岳紅葉樹林:普賢岳の中腹以上に見られる。ヤマモミジ・テツカエデ・ナナカマドなど赤くなるものが多く、10月下旬から11月上旬にかけて全山錦となってみごと。

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