野沢温泉のざわおんせん

奥信濃の名湯として知られる温泉。奈良時代、高僧の行基が発見したと伝えられており、江戸時代に飯山藩主が入湯して以来繁栄し、現在では湯治やスキーのできる温泉として親しまれている。毛無山(けなしやま)(1,650m)の山ふところに抱かれた標高600mの地にある。
 あちこちから湯けむりを上げる共同浴場を中心に、民宿の看板をあげた民家などの宿泊施設が密集し、たたずまいや人情、野沢菜*や山菜をはじめとする味覚に山里らしい素朴さを残している。
 温泉は弱アルカリ性硫黄泉。源泉30余ケ所と豊富なうえ、40~90度と熱い。
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みどころ

野沢温泉村の人々は雪深い地でも温泉に励まされてきたという。豊かに湧いてきた温泉を大事にしてきたおかげで、現在でも90度近い高温の源泉三十数か所を絶やさずにいる。
 泉源の一つ「麻釜」(おがま)*は湯煙が立ちあがる広場であり、野菜や卵などをゆでる。特にこの地で取れる野沢菜を麻釜で洗い茹でる光景は、野沢温泉の風物詩になっている。
 共同湯が13か所あるが自治組織により清掃、維持管理を行ってきている。またそうした風情が温泉情緒を生み出している。その中心が「大湯」であり、江戸時代の湯屋を再現した建物で町のシンボルになっている。内部には、高温の湯船と少し温度の低い湯船の2つがあるが、外部の来訪者は高温の湯は難敵である。共同浴場(外湯)巡りも野沢温泉の楽しみの一つである。(林 清)
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補足情報

*野沢菜:シャキシャキとした歯ざわりで人気のある野沢菜は1756(宝暦6)年建命寺の住職が京都修業の折天王寺蕪(かぶ)の種を持ちかえったのが始まり。5月一面の黄色い菜の花畑になるが、漬物にする菜は8月に蒔く。11月に取り入れ、共同湯で洗ったのち、漬け込むが塩かげんと重石がコツで、12月になると色合いのよい漬物に仕上がる。
*麻釜:90度の熱湯が湧く共同湯で野沢の人が山菜をゆがいたり、あけびづる細工のあけびづるを柔らかくするのに利用している。
関連リンク 信州野沢温泉(野沢温泉観光協会)(WEBサイト)
関連図書 「温泉巡礼」 石川理夫PHP研究所、「湯治で元気になる厳選50湯」 石川理夫 双葉社
参考文献 信州野沢温泉(野沢温泉観光協会)(WEBサイト)
「からんころん」 パンフレット 野沢温泉観光協会
「信州野沢温泉」 パンフレット 野沢温泉観光協会

2022年09月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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