白鳳渓谷はくほうけいこく

南アルプスの麓、早川の上流野呂川の一部をいい、北岳などへの登山口となる広河原付近から荒川と合流して早川となる付近までの渓谷を指す。白根山系と鳳凰山系の間にあるため、この名が付けられた。南アルプス林道は甲府盆地側の芦安から夜叉神トンネルを抜け広河原に至り、広河原から白鳳渓谷沿いを下る南アルプス公園線は早川町の奈良田に出る。一方、広河原から南アルプス林道をさらに上流に遡れば、北沢峠を越え、長野県伊那市につながる。(ただし、この区間は2019(令和元)年の台風19号により大規模な崩落被害を受けたため、通行止めとなっている。)
 野呂川は静岡―糸魚川構造線上にあるため、左岸の鳳凰山系は花崗岩からなり、右岸の白根山系は白亜紀から中新世のチャートや石灰岩、海洋玄武岩、陸源性の砂岩・泥岩などからなり、全く異なる地質の中間を流れているため、地形的にも地質的にも様々な姿、様相をみせる。
 白鳳渓谷へのアクセスは、甲府側の芦安あるいは早川下流の早川町奈良田から入ることになるが、南アルプス林道、南アルプス公園線ともにマイカーは規制*されており、路線バスやタクシーの利用となる。
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みどころ

標高が3000m超えの白根山系と3000mに近い鳳凰山系に挟まれ、渓谷は深く、まさに南アルプスの源流で奥が深い。とくに芦安側から夜叉神トンネルを抜けると、深い渓谷の対岸に白根三山が眼前に聳え立つ景観は迫力満点。
 南アルプス公園線沿い地域は、ミズナラ、カエデ類、サワグルミなどの落葉広葉樹が多く、紅葉や新緑が素晴らしい。急崖には、コメツガ、ウラジロモミの常緑針葉樹も生育し、広河原には貴重なカツラ林を見ることもできる。また、多様な地質、岩石で形成されている渓谷であることから、その様々な色合いと初夏の新緑や秋の紅葉などの色の移り変わりが渓流に映える。
 南アルプス公園線はマイカー規制ではあるが、広河原や奈良田から徒歩で渓谷のトレッキングも楽しめる。
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補足情報

*規制:芦安から広河原と奈良田から広河原間の林道は6月下旬から11月上旬までマイカーが規制されており、路線バス、乗合タクシー、一般タクシーのみ通行可能である。そのほかの期間は一般車両は通行止めになる。運転期間、時刻表、料金などについては、事前に確認が必要だ。

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