鳳凰三山ほうおうさんざん

南アルプス*は、甲斐駒・鳳凰山系*、白根山系、赤石山系の3つの大山系によって構成される。甲斐駒ヶ岳から南東へ延びる尾根上に鳳凰山系の地蔵ヶ岳(標高2764m)、観音岳(標高2840m)、薬師岳(標高2780m)があり、鳳凰三山と呼ぶ。いずれも花崗岩で構成され、山頂付近は風化が激しいが、白砂や灰白色の岩とハイマツの取り合わせが映える。花崗岩の岩陰では5弁の紅色が濃いめの花 タカネビランジや、可憐な紫色のホウオウシャジンなどの高山植物にも出会える。山頂や稜線では甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・北岳などの眺望を間近にする。
 鳳凰三山は信仰*の山で、とくに、地蔵ヶ岳山頂のオベリスクと呼ばれる約18mの岩峰は地蔵尊としても崇敬を集め、三山のシンボルである。「鳳凰山」の名は、この岩峰を嘴に見立てて神鳥すなわち「鳳凰」が棲むところとも、あるいは、大日如来が仏法の法王であることから由来していると、「甲斐国志」などで伝えられている。
 韮崎市からの登山コース*は、御座石鉱泉からの燕頭山ルート、または青木鉱泉から入り南精進ヶ滝、白糸の滝、五色の滝などを経るドントコ沢ルートなどがある。そのほか、青木鉱泉から中道のルート、夜叉神峠からのルートなどもある。
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みどころ

地蔵ヶ岳の天空に突き出すオベリスクと呼ばれる岩峰の姿が壮大。観音岳から薬師岳への稜線歩きでは、北岳をはじめとする白根三山、富士山、八ヶ岳などが大パノラマを展開する。特に八ヶ岳は、均整のとれた美しい姿を望むことができる。
 遮るものがない甲府盆地の眺望、その先に御坂山塊、さらにその上に富士山が綺麗な三角錐を描く景観は気持ちも伸びやかにしてくれる。
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補足情報

*南アルプス:南アルプス地域は、日本列島がアジア大陸から離れる動きと北上するフィリピン海プレートや太平洋プレートの水平移動などによって激しい衝突及び圧縮の場となった。その結果、糸魚川―静岡構造線や本州中央部において逆「く」の字型の屈曲地形が形成され、100万年前頃から急激な上昇が生じた。
*鳳凰山系:鳳凰山はどの山を指すか歴史的には変遷が多い。江戸時代後期の「甲斐国志」では、「絶頂ニ高數丈ノ巌アリ遠ク望メハ人物ノ状ノ如シ。州人多クハ誤リ認メテ是ヲ地蔵ヶ嶽ナリト云ハ非也。(中略)是ヨリ東南ノ方ニ對峙スルヲ地蔵ヶ嶽ト云。相距ルコト壱里弱山脊少シク低シ其次ヲ観音ヶ嶽ト云其次ヲ薬師ヶ岳ト云」と記していることから、現在の地蔵ヶ岳のみを鳳凰山とし、賽の河原を挟んだピーク、赤抜沢ノ頭を地蔵ヶ岳としていると考えられる。
*信仰:鳳凰山の山岳信仰の歴史は古く、平安期に書かれた、修験道の創始といわれる役小角の伝記「役行者本記」にはすでにその山名が挙げられており、その後も鳳凰山権現として崇敬されていた。「甲斐国志」でも「其絶頂ニ詣ラント欲スル者ハ必ズ八九月ヲ以テ候トス」として、詣でる前には登山道にある滝にて沐浴精進をしなければならないと記し、これを破ると天候不順や不作になると言われているとしている。地蔵ヶ岳の岩峰も江戸時代中期頃から地蔵信仰が広まり信仰の対象とされ、地蔵仏とみなされるようになり、その近くの賽の河原には子授かり地蔵が50体ほど安置されている。
*登山コース:登山道、ルートは自然災害などにより状況が変わることがあるので、登山には事前の確認が必要だ。
関連リンク 韮崎市観光協会(WEBサイト)
関連図書 田中澄江「新・花の百名山」文藝春秋
参考文献 韮崎市観光協会(WEBサイト)
山梨県立大学「南アルプスと観光」 2013年度観光講座(WEBサイト)
「甲斐国志」国立国会図書館デジタルコンテンツ(WEBサイト)
山梨県山岳信仰遺跡詳細分布調査報告書

2024年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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