トキの森公園ときのもりこうえん

トキ*の森公園には、「トキふれあいプラザ」と「トキ資料展示館」とがある。前者では、飼育ケージ内を生息環境に近い状態にして、トキの採餌、飛翔のほか、抱卵や子育てなどトキの生態を間近で観察できる。後者では、展示テーマを「保護から共生そして未来へ」と題し、近年リニューアルした展示物や従来展示していた「キン」のはく製などを見ることができる。
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みどころ

佐渡の中でトキを確実にみることができる場所は、トキの森公園だけ。隣接する「佐渡トキ保護センター」で飼育されているトキを観察回廊から間近に見ることができる。しかし、最近では、放鳥されたことにより自然下でのトキが多くなり、国中平野を中心にトキの飛翔する姿や声を聞ける機会が多くなった。
 トキの森公園から約5km離れた佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの近くに「トキのテラス」がオープンした。展望デッキからは、トキの姿やトキが生息する佐渡の自然豊かな里地・里山を一望できる。2階には、野生下のトキの暮らしなどを楽しく学べる展示もある。
 佐渡に来て、トキの舞う姿やトキの鳴き声を実際に見聞きし、その感動を味わってほしい。(溝尾 良隆)
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補足情報

*トキ:「ペリカン目トキ科トキ亜科」に属し、特別天然記念物と国際保護鳥に指定されている。シーボルトが初めてヨーロッパに紹介、学名もNippnia Nipponという。全長約75cm翼長40cm前後に達する大型の鳥で、全身が白く、一見シラサギに似ているが、風切羽と尾羽が「トキ色」と呼ばれる独特の美しいピンク色をしているのが特徴。顔は羽毛がなく朱赤色、くちばしは黒く、長く湾曲している。主な餌は、ドジョウ、カエル、バッタなどである。樹上に巣を作り、4月ころ産卵する。
 20世紀初頭には、華北、沿海州、朝鮮半島、日本など東アジア一帯に生息していたが、その数は激減した。日本でも明治中期頃までは全国各地にいたとみられるが、その後急減し、第二次世界大戦後は、佐渡、石川県などの地域で少数が生息するのみとなった。1967(昭和42)年、トキ保護センターを開設。絶滅を防ぐため、1981(昭和56)年、佐渡に残る5羽を捕獲し(この段階で日本の野生トキは絶滅)、すでに捕獲した1羽を加え、トキ保護センターで人工飼育による繁殖が試みられたが繁殖には至らなかった。さらに、中国産トキとの繁殖を何度か試みるがこれも繁殖には至らなかった。1999(平成11)年、中国からペアのトキが贈呈され、同年、そのペアによる人工繁殖を国内で初めて成功させた。2003(平成15)年には、最後の日本産トキが死亡し、日本産トキは絶滅した。
 その後、中国から3羽借受け、順調に人工繁殖が進み人工飼育数は増加している。2007(平成19)年から、野生復帰訓練が始められ、2008(平成20)年9月、佐渡で10羽が試験放鳥された。
 2020(令和2)年3月1日現在、飼育下176羽、自然下に401羽と増えている。
関連リンク トキのたより(トキの森公園)(WEBサイト)
参考文献 トキのたより(トキの森公園)(WEBサイト)

2022年06月現在

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