明月院めいげついん

北鎌倉駅南東700mの明月谷の奥。数千株のアジサイの花が参道に並び咲くことからアジサイ寺とも呼ばれている。寺は、北条時頼が建てた最明寺跡に再興された禅興寺の塔頭で(禅興寺が明治初期に廃寺となり塔頭でなくなる)、室町時代初期、関東管領上杉憲方*によって開創された。
 境内には1973(昭和48)年に再建された本堂、北条時頼廟、時頼墓、鎌倉十井の一つ瓶ノ井、上杉憲方の墓と伝えるやぐらなどがあり、アジサイのほか、ロウバイ、シダレザクラ、ハナショウブなどの花々もある。本堂の表は枯山水庭園、裏は後庭園の二つの庭園を持つ。やぐらは高さ3m、間口7m、奥行5mにおよぶ鎌倉最大のもので、壁面に釈迦・阿弥陀・十六羅漢を浮彫りにし、中央に宝篋印塔を安置している。
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みどころ

明月院のアジサイと言えば、「明月院ブルー」とも称される透明感のある青いアジサイ。アジサイは日を追うごとに色が深まるため、咲き始めのまだ白が混ざった清楚な青から、濃く鮮やかな青まで、様々な青の表情を楽しめる。アジサイを観光対象として打ち出したのはこの明月院が最初で、その後全国にアジサイの名所が生まれた。
 境内のやぐらは鎌倉最大のもので迫力がある。上杉重房坐像*は優れた作品であり、鎌倉国宝館で接してほしい。(溝尾 良隆)
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補足情報

*上杉憲方:1335~1394年。南北朝期の武将。鎌倉公方足利氏満のときの関東管領。山内上杉氏の祖。
*上杉重房坐像:鎌倉時代の作。高さ68.2cm、寄木造、彩色、玉眼入り。立烏帽子、狩衣姿で安坐する俗体武士像で、鎌倉地方に多いこの形式の肖像彫刻の中でもっともすぐれた作品といわれている。

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