海蔵寺かいぞうじ

鎌倉駅の北西1.2km、扇ガ谷と呼ばれる静かな住宅街の奥にある。1394(応永元)年、上杉氏定が鎌倉公方足利氏満の命を奉じて建立した。
 盛時は塔頭10院を擁したと伝わるが、今は、小ぢんまりとした境内に、1776(安永5)年浄智寺から移した仏殿のほか、本堂・鐘楼・山門・庫裏を数えるのみである。本堂は、関東大震災後、1925(大正14)年に再建された。山門前右手に鎌倉十井の一つ底脱の井が、左手奥に十六の井がある。
 十六の井*の正面壁窟には阿弥陀三尊像を刻む、嘉元4(1306)年銘の板碑がはめ込まれていたが、現在は鎌倉国宝館に出品中である。
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みどころ

本堂の欄間や額字、間切戸の山水画などは見応えがあるので、見逃せない。花の寺としても知られ、カイドウ、ノウゼンカズラ、ハナショウブ、ハギ、サザンカなどが寺の四季を彩る。なお、奥の庭は非公開となっている。(溝尾 良隆)
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補足情報

*十六の井:板戸を閉めたやぐらの中に、径50cmほどの丸穴が4列ずつ16個並び、湧水をたたえている。かつての納骨穴か、あるいは十六菩薩になぞらえて掘られた霊場跡と考えられている。

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