伊香保温泉いかほおんせん

榛名山の北東中腹、標高約700mの高所にあり、古くから上州の名湯として知られる。温泉街は山間の急斜面に造られ、階段式の道路やヒナ段状に立ち並ぶ旅館や店舗、たちこめる湯の香りなどが独特の湯の町情緒をかもしだしている。春の新緑・ツツジ、夏の避暑、秋の紅葉など、どの季節も楽しめ、近くの榛名山・榛名湖、榛名神社、水沢観音など様々な観光ルートが形成されている。
 開湯の歴史は古く、垂仁天皇の時代と伝わり、『万葉集』・『続日本後紀』などにも伊香保の名が見られる。また戦国時代末期に「日本初の都市計画」*と自慢する石段と温泉街の街並みを計画的に形成したという。明治以降は東京に近い避暑・保養地として文人・名士らが訪れ始め、広く一般にも紹介された。なかでも伊香保温泉を愛し、伊香保温泉で亡くなった徳冨蘆花の小説『不如帰(ほととぎす)』の力によるところが大きく、旅館街には蘆花記念館、蘆花記念碑などが立てられている。
 湯は42度前後の硫酸塩泉と温泉法第二条に該当する俗称メタけい酸単純泉の2種類。女性の湯として知られ、婦人病・不妊症に特効があるとされる。湯は茶褐色で鉄臭味がある。共同浴場として源泉近くに露天風呂、石段脇には石段の湯がある。また、自由に温泉を飲める飲泉所もある。
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みどころ

365の石段、両側に立ち並ぶ旅館や土産品店、飲食店、足湯や共同浴場などが続き温泉情緒が漂う。自動車が入ってこないだけにそぞろ歩きが楽しめる。石段も所々に平坦な踊り場があり、365段の階段も休み休みで息を切らせることもなく、両側のお店に立ち寄りやすい。また石段の最上部には伊香保神社があり、階段を上りきる目標となり、人の行き来が絶えずにぎわいが生まれている。
 周辺には榛名湖、水沢観音、榛名神社など立ち寄り観光地も多く、周遊観光が楽しめる観光ルートが形成されている。反面、伊香保温泉に至る途中の道路から、一部の著しく目立つ外観の施設や古びた建物などが目に付き、美しい景観や温泉情緒とのギャップが残念である。
 上毛かるたで「伊香保温泉 日本の名湯」と歌われ、地元自慢の温泉である。(林 清)
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補足情報

*日本初の都市計画:1576(天正4)年、伊香保温泉共同体形成の推進者が、温泉街の計画をつくり現在の伊香保温泉の骨格を作り出した。新たに湯元より温泉を導き、石段を造って中央に湯桶を伏せ、左右に整然と区画されたそれぞれの屋敷に引湯して、湯を配した浴場を持つ温泉宿を並び立てて、当時としては異色の温泉街を形成した。
関連リンク 一般社団法人渋川伊香保温泉観光協会(WEBサイト)
参考文献 一般社団法人渋川伊香保温泉観光協会(WEBサイト)
伊香保温泉旅館協同組合(WEBサイト)
パンフレット「伊香保旅手帳」(一般社団法人渋川伊香保温泉観光協会)

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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