根室市は、道東端にあり、半島の付け根部において浜中町、別海町と接している。東は太平洋に面する。オホーツク海を隔てて国後島を臨み、納沙布岬からは歯舞群島、色丹島が展望できる。
 JR根室本線、国道44号が通じ、西部の厚床で国道243号が分岐する。
 太平洋に突き出た根室半島の全域を占め、東西に細長く突き出た半島状の形をしている。山岳や大きな河川はなく、面積の大部分を森林と牧草地が占め、海岸線に沿って切り立った断崖や砂浜が連続する変化に富んだ地形となっている。中心市街地は半島中央部の北岸で根室湾に面し、漁港がある。地形に高低があり、街路はおおむね緩やかな坂をなしている。北東に紅煙岬が突出し、弁天島が西の海面に横たわる。納沙布岬付近には暗礁があり納沙布岬灯台が設置されている。太平洋側は島が点在するほか岬が南東に突き出し、それぞれ歯舞漁港、花咲港、落石漁港を形成。半島の付け根部分の厚床方面は、大部分が平坦で小川が入り交じって大河川はなく、僅かに別当賀川を最大に2~3の小川が流れている。
 1957年(昭和32)根室町と和田村が合併して市制施行。1959年(昭和34)歯舞村を編入。市名はアイヌ語「ニムオロ」(樹木の繁茂する所)に由来。開発は1754年(宝暦4)に、松前藩が珸瑶瑁水道の航路を開き、根室港を交易地としたことに始まる。1869年(明治2)開拓使庁根室出張所が設置され、1882年(明治15)には根室県が置かれ、また1886年(明治19)和田に屯田兵440戸が入植した。1897年(明治30)根室支庁が(現、根室振興局)開設し、根室地方だけでなく千島列島一円の行政の中心地となった。明治期以降漁業と水産加工業が行われ、また千島、知床面への航路も開設されて物資輸送の基地、海産物集散地として繁栄した。第二次世界大戦末期には戦災で市街地の80%が焼失、さらに千島、歯舞、色丹の島々を失い、引揚者の多くを抱えることになった。現在は北方領土返還運動の拠点となっている。
 水産業が中心で、根室港と花咲港を基地として沖合・遠洋漁業のサケ、マス、サンマ、タラ、カニ漁など、沿岸漁民のコンブ漁やサケ漁が行われる他、缶詰、水煮、干物、塩蔵などの水産加工業がある。また、ウニ種苗生産センター(1991年完成)、水産研究所(1996年完成)などを設置して水産資源の増大と有効利用を図っている。半島の段丘性丘陵面から根釧台地にかけては「新酪農村」など、日本を代表する大型で近代的な酪農地帯が出現している。
 花咲岬の根室車石、落石岬のサカイツツジ自生地はともに国指定天然記念物。西浜地区の西月ヶ岡遺跡は擦文時代の集落跡で国指定史跡。風蓮湖はオオハクチョウ飛来地で、東の温根沼とともに野付風蓮道立自然公園域に含まれる。風蓮湖・春国岱はラムサール条約登録湿地。

観光資源一覧

春国岱(根室)の写真

春国岱(根室) (北海道 根室市 )

風蓮湖と根室湾を区切る長さ8km、幅1.3kmの長大な島。第一浜堤、第二浜堤、第三浜堤の3つの浜堤からなり、面積は6km2。 春国岱には、山と渓谷を除けば、広葉樹林、針葉樹林、草原、湿原、湖沼・川、干潟、塩性湿地といった北海道の自然のエッセンスがほとんどすべてつめこまれているともいわれている。砂丘上に形成されたアカエ...

風蓮湖の写真

写真提供:根室市観光協会

風蓮湖 (北海道 根室市 / 北海道 別海町 )

根室市と別海町にまたがる汽水湖*1。湖の周囲長は約96km、面積は約5750万m2、最大水深は11mで北海道では汽水湖としてはサロマ湖と能取湖に次いで3番目の大きさ。2005年にラムサール条約に登録されている。風連湖は根室湾の沿岸流によって湾の一部が閉鎖されてできた閉鎖湖で、別海町の本別海側から南東に延びる走古丹の砂州・砂堆...

納沙布岬の写真

写真提供:根室市観光協会

納沙布岬 (北海道 根室市 )

根室半島の突端、北海道最東端の岬である。珸瑶瑁(ごようまい)海峡(水道)をはさんで3.7kmの海上には貝殻島があり、島との中間1.8kmの海上には、日露間で領有に関し見解の異なる境界線が存在している。  岬の右手には1872(明治5)年に建設された道内最古の納沙布燈台*1が立ち、左手には望郷の岬公園(四島のかけ橋*2)が広がり、その公...