永田いなか浜のウミガメながたいなかはまのうみがめ

ウミガメが産卵する浜が屋久島には何カ所かあるが、産卵数が多いのが永田浜だ。
 屋久島の北西、永田川の河口に広がる3つの浜「前浜」「いなか浜」「四ツ瀬浜」を総称して永田浜とよぶ。島の奥岳から永田川の流れに乗って運ばれてくる風化花崗岩の砂によってできた2kmに及ぶ海岸で、2005(平成17年)年にラムサール条約*の登録湿地に指定された。岩場の多い屋久島では珍しく、花崗岩が砕けた粗めの黄色みがかった白砂が続いている。
 屋久島で産卵するウミガメの多くはアカウミガメ。ウミガメは生まれた地に戻ってくる習性があるといわれ、昔からこの地で産卵していたことから、今も太平洋一円を回遊しながら生活するウミガメが毎年産卵に戻ってくるのではないかと考えられている。なぜこの地が選ばれるのかについては、潮の流れや砂浜の質、浜の広さなどが関係していると思われるが、正確なことはわかっていない。
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みどころ

四ツ瀬の鼻まで砂浜が約800m続く永田いなか浜では、5~8月にかけてウミガメ観察会を行っている。ウミガメや島の自然のことがよく理解できる。産卵や孵化のシーズン中(5~8月)の夜間(19:30~翌朝5:00)は、浜への立ち入りを制限しているので注意したい。
 ウミガメの生態については、近くの「屋久島うみがめ館」で詳しく紹介している。眺望がよく、のんびり散歩するのにおすすめのスポットである永田浜は、世界でも貴重なウミガメのふるさとの海岸である。
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補足情報

*ラムサール条約:1971(昭和46)年にイランのラムサールで開催された国際会議で採択された「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。重要な湿地の「保全・再生」「賢明な利用」「交流・学習」を目的としている。