宮之浦岳みやのうらだけ

標高1,936m。1,800mを越える山々が連なり「洋上のアルプス」とよばれる屋久島の最高峰であることはもとより、九州最高峰でもある。最南の日本百名山。
 女性的な山容で、淀川登山口から登山道が整備されており、屋久杉の森、花之江河(はなのえごう)を抜け、標高1,700m前後で樹林帯を抜けると、その後はヤクザサとシャクナゲと花崗岩の巨岩による森林限界の中を進み、山頂を目指す。山頂からは360度開けた見事な眺望が満喫できる。
 南の島だが冬は積雪が多い。標高1,200m以上の地に生える屋久島の固有種、ヤクシマシャクナゲが5月中旬から6月上旬にかけて開花する。島の各集落の岳参り*の山でもある。
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みどころ

登山愛好者の憧れ、屋久島を代表する山である。屋久杉原生林や日本最南端の高層湿原*である花之江河を通り、花崗岩の奇岩を眺めながら山頂を目指すルートはみどころが多い。天気がよければ山頂からは東シナ海、太平洋はもとより、種子島やトカラ列島をはじめ、開聞岳や桜島、霧島連山まで見渡せ、屋久島が海の中に浮かぶ島であることを実感する。
 5月ごろに開花するサクラ色の花が美しいサクラツツジ、5月中旬から6月上旬にかけて咲き誇るピンクから次第に白へと変化するヤクシマシャクナゲなど、山を彩る花々を目当てに訪れる人も多い。
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補足情報

*岳参り:山の神様と仰ぐ屋久島の人々が、春と秋の年2回、集落の山神様をお参りする伝統行事。
*高層湿原:低温・過湿で塩類の乏しい貧栄養の所にできる湿原。ミズゴケが多く、泥炭化が進んで盛り上がった所ができる。高山や高緯度地方に多い。