坊津町のソテツぼうのつちょうのそてつ

沖縄から奄美大島にかけて自生する亜熱帯植物、ソテツ。自生地の北限は九州の南端、薩摩半島および大隅半島の南部の海岸を望む岩地である。南さつま市坊津町、指宿市山川、肝属郡(きもつきぐん)南大隅町佐多・肝付町(きもつきちょう)内之浦に自生しているソテツが国の天然記念物に指定されている。
 薩摩半島の西南端に位置する南さつま市は、変化に富んだ美しいリアス式海岸を有する、自然豊かな歴史あるまち。ソテツは、対外貿易の要港として栄えた坊津の秋目海岸一帯のやや乾いた原野の岩の間に自生している。
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みどころ

鑑真が上陸したといわれる歴史のある坊津。ソテツの自生地があるのは、秋目海岸に面した岩場の一角で、群落感はあまりないが、ひっそりと立派な葉を広げている。秋目地区は、日本の原風景ともいえる雰囲気が今も残る落ち着いた漁師町で、1967(昭和42)年に公開された映画「007は二度死ぬ(You Only Live Twice)」のロケ地になった。ショーン・コネリーや丹波哲郎、浜美枝が訪れ撮影が行われた当時と、今も変わらぬ風景が残ると話題の地を、変わらずそこに息づくソテツを愛でながら、ゆっくり散策したい。