指宿温泉郷(指宿、山川伏目海岸)の砂むし温泉群いぶすきおんせんきょう(いぶすき、やまがわふしめかいがん)のすなむしおんせんぐん

20余りの湧出地区がある、九州を代表する温泉郷のひとつ。なかでも特徴的なのが、世界でも珍しい海岸から自然湧出する温泉の熱を利用した天然の「砂むし」場があること。体を砂の中に埋めての砂むし湯治が300年以上前から行われている。現在、砂むしを行っているのは2か所。摺(すり)ガ浜と山川伏目(やまがわふしめ)海岸で、いずれも泉質はナトリウム-塩化物泉。
 近年の研究により、砂むしの効能が明らかになっている。横になって入るため、血液が心臓に還流しやすく、砂の圧力で心臓から送り出される血液の量も増加、高温により血管が拡張され、心機能を高めて、全身還流を促進する効果もみられる。
 約2kmに及ぶ摺ガ浜の一角には、大浴場や休憩所を備えた指宿最大の砂むし温泉立ち寄り施設がある。大潮の干潮時には波打ち際で、満潮時や天候の悪い日は屋根付の砂むし場で砂浴する。 山川砂むし温泉は山川伏目海岸の静かな地にある施設で、開聞岳を望むことができる。
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みどころ

浴衣を着て砂の上に寝転ぶと、係の人が体に砂をかけてくれる。ほかほかと体全体が温まってくるのを感じながら、波音と風を感じる心地よさは格別だ。大自然と一体化している不思議な感覚に包まれる。10分ほどで汗びっしょり、体の芯まで温まり、砂から上がったあとはシャワーで砂を落とし、温泉につかって汗を流す。体が軽くなると評判で、心身ともにすっきり。この地でしか味わえない爽快感だ。
 山川伏目海岸の入口で販売されている、温泉の熱で蒸された卵やサツマイモもぜひ味わいたい*。
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補足情報

*温泉の蒸気を利用したかまどのことを地元では「スメ」と呼び、卵やサツマイモを蒸して提供する。