入来麓武家屋敷群いりきふもとぶけやしきぐん

鎌倉時代からの領主、入来院(いりきいん)氏が築城した清色(きよしき)城を中心に広がる、山と川に囲まれた武家屋敷集落跡。城のすそ野に家臣の住まいを配置する「麓」*を形成し、集落へと発展した。山、川、田などの環境が一体となり、屋敷の配置や区割り、野石を使った美しい玉石垣や生垣、武家屋敷門(茅葺門)、大手門前の濠や広馬場、下門口を備えたお仮屋跡など、多くの史跡、文化財が残っている。2003(平成15)年、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。2019(令和元)年には、薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群「麓」を歩く~構成文化財として認定。
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みどころ

観光案内所でもらえる散策マップを手に、武家屋敷跡を歩いてみよう。清色城跡に残る山城の入口である堀切は必見だ。高さ20~30mもあり、敵が攻めてきたときには上から石を落として侵入を防いだそうだ。1873(明治6)年ごろに建てられた旧増田家住宅は見学可能。常駐しているガイドの方に、建築の特徴や当時の暮らしぶりなどを聞くことができる。中世から近世にかけての息吹が聞こえてくる武家屋敷跡散策を楽しみたい。
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補足情報

*麓:山城とその麓に広がる武家屋敷群全体を指す言葉で、武士の拠点を地方に点在させた薩摩藩独自の外城制度によって生まれた。