田染荘たしぶのしょう

火山活動でできた円錐形の国東半島。その南部に広がる田染盆地では、743(天平15)年の墾田永年私財法の成立によって、この地を豊かな水田地帯にしようと、農民や宇佐神宮が尽力。誕生したのが、この田染荘だ。宇佐神宮の「本御荘十八箇所」とよばれる根本荘園のひとつで、最も重用視された荘園として栄えた。土地の地形をそのまま利用した、曲線のある水田景観が特徴で、現在も往時の風景が残っている。
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みどころ

荘官や荘園の人々が住んだ屋敷跡、水を運ぶイゼ(井堰)や水路、水を涵養するクヌギ林とため池などが今も残り、「生きた荘園遺跡」とも形容できる、古代から続く風景が広がっていることが貴重である。ガイダンス施設でもある「ほたるの館」(イベント時営業)付近に、荘園風景が広がっている。田植え後の水をたたえた水田風景や、収穫前の稲穂がたわわに実った風景はぜひ見て欲しい。悠久の時を超え、古代の荘園が蘇ったかのような雰囲気を味わえる。
 周辺の小崎地区を巡れば、世界農業遺産に認定された豊かな農村景観を見られるので散策もおすすめ。また、田染荘を一望するのに最適なのは、間戸の岩屋と呼ばれる景勝地である。
 景観を守るための地域活動も積極的で、荘園領主(水田オーナー)制度をはじめ、御田植え祭や収穫祭、ホタル観賞イベント、イルミネーションイベントなどが行われている。地元が一体となって取り組むそれらの活動からは、地元愛が感じられ、非常に好感が持てる。

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