やすらい祭やすらいまつり

4月第2日曜、春の精にあおられ飛散するといわれる疫神を鎮めるため、今宮神社周辺で行われる祭。今宮神社は地下鉄烏丸線北大路駅の西約1.6kmにあり、徒歩20分、または同駅より京都市バスで船岡山下車、徒歩7分で到達する。
 平安時代後期、桜の花が散り始める旧暦の3月頃に疫病が流行し、疫病退散(無病息災)を祈願したのが始まりといわれる。さらに時代を遡り、平安遷都以前からある素戔嗚尊(すさのをのみこと)を祀った社(現・摂社の疫社)に参り悪疫が鎮まることを祈願した習慣が起源ともいわれている。室町時代に流行した風流踊の伝統を残すと伝えられる奉納踊りでもある。この祭りは「花鎮めの祭」で「やすらい花」とも称され、国の重要無形民俗文化財に指定されている。また、2022年には「風流踊」*の一つとして、ユネスコ無形文化遺産にも登録された。
 「やすらい花」は今宮神社、玄武神社、川上大神宮、上賀茂の4地区のやすらい踊保存会によって伝承されており、踊りやお囃子はそれぞれの保存会により異なる。
 今宮神社の場合は、氏子たちが花傘(風流傘)を中心に、子鬼、赤毛・黒毛の大鬼、囃子方等に扮して約20名の行列となり、紫野上野町にある光念寺(こうねんじ)を出発する。大鬼は鉦や太鼓を打ち鳴らし、跳びはねるように踊りながら今宮神社へ向かう。今宮神社では境内でやすらい踊りを奉納し、その後光念寺に戻る。
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みどころ

やすらい祭の象徴で練り衆の中心となる花傘は桜や椿などで飾られており、「この花傘の下に入ると1年間健康に過ごせる」、さらに「初めてこの祭りを迎える赤ん坊は、花傘に入ると一生健やかに過ごせる」といわれているため、多くの人たちが競って入っていく。また、鉦と太鼓を鳴らしながら躍る鬼が、門口や辻などで激しく踊るのもこの祭りの特徴である。
 地域住民が祭りを愛し積極的に参加する。小さな子は鬼を見て怖がって泣き、成長すると憧れの目で鬼を見、やがて大人になると練り衆に加わるなどしてこの祭りが受け継がれている。周りの人々もひとつになって楽しめる祭りである。また今宮神社の門前で売られているあぶり餅も有名で、この餅を食べつつ見学するのも楽しい。
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補足情報

*風流踊:太鼓、鼓、笛、鉦などの囃子に合わせて歌いながら踊る群舞。華やかな、人目を惹くという「風流」の精神を体現し、衣装や持ち物に趣向をこらした民俗芸能。除災や死者供養、豊作祈願、雨乞いなど安寧な暮らしを願う人々の祈りが込められている。室町時代末期から近世初頭に盛行した集団の踊りをいう。今日各地で行われている盆踊り、花笠踊りなどもこの踊りの発展形と言われている。
関連リンク 今宮神社(WEBサイト)
参考文献 今宮神社(WEBサイト)
国指定文化財等データベース 文化庁(WEBサイト)
「京都府の歴史散歩 上」山川出版社
「四季を彩る 京都 お祭りガイド」メイツ出版株式会社
文化庁 「風流踊」のユネスコ無形文化遺産への提案

2025年05月現在

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