竹伐り会式(鞍馬寺)たけきりえしき(くらまでら)

6月20日に竹伐り会式の行われる鞍馬寺は、京都市街の北郊。叡山電車鞍馬線鞍馬駅を降りて徒歩5分の仁王門から会式のある本殿金堂まで徒歩約25分、または仁王門を入ってからケーブルカーと徒歩で約10分。
 寺伝によると寛平年間(889~898年)に鞍馬山中興の祖、峯延(ぶえん)上人が護摩修行中に襲ってきた大蛇を毘沙門天に祈って退治した。蛇は切り刻まれて捨てられたという。竹伐り会式はこの故事によって、僧兵姿の鞍馬法師が近江・丹波の両座に分かれ、大蛇に見立てた太い青竹4本を山刀で伐る速さを競い、豊凶を占うもの。退治された大蛇は雄であったが、もう1匹現れた雌の大蛇は暴れることなく上人の説法を聞き入れ、鞍馬寺の香水(こうずい)を守ることを約束したため逃がしたといわれる。本殿の東側の閼伽井(あかい)護法善神社にはこの雌蛇が祀られており、会式には水への感謝の祈りも込められている。
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みどころ

会式は午後2時に開始。鞍馬法師*は4人ずつ近江座と丹波座に分かれる。牛若丸を思わせる装束の稚児による導師(僧侶)と近江・丹波両座への挨拶「七度半の使い」*につづき、竹の節を揃えて勝負の条件を同じにする「竹ならし」が行われる。本殿金堂の両側に用意された太さ10cmほどの長い竹*を堂の正面に持ち出し、「ヤァ」「オゥ」という激しい掛け声とともに山刀で約4mに切断。会式の見どころの一つである。法要と舞楽奉納の後、導師が檜扇を3回上下させ、3回目の扇が上がりきったところで勝負伐りが始まる。両座が、支え役と伐り役の2人1組の各2組で大蛇に見立てた青竹を気合とともに山刀で6つに切断。その気合と激しい動作、山刀と竹が発する音に圧倒される。伐り終わると山刀を掲げたまま竹の最後の1片を持って堂を駆け下り、本坊に走り込む。30秒から1分ほどの勝負で、先に本坊に入った方が豊作とされている。伐られた青竹の切りくずは厄除のご利益があるとされる。
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補足情報

*鞍馬法師:鞍馬の里人で大惣(おうぞう)法師仲間とよばれる人々がこの役を担う。会式では腰にナンテンの葉を挿す。
*七度半の使い:「竹伐りの神事、めでとう候」「近江の竹、見事に候」などという。
*竹:雄蛇を表す太い竹は勝負伐りで切り刻まれるが、雌蛇を表す根付きの細い竹も用意されていて、こちらは会式の後、山に戻される。
関連リンク 鞍馬寺(WEBサイト)
参考文献 鞍馬寺(WEBサイト)
【京都市公式】鞍馬山竹伐り会式
「京都府の歴史散歩 中」山川出版社
「四季を彩る 京都お祭りガイド」メイツ出版株式会社

2025年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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