嵯峨鳥居本の街並みさがとりいもとのまちなみ

阪急嵐山駅から京都バスで「鳥居本」下車、徒歩約3分に愛宕神社の一の鳥居がある。このあたりは嵯峨鳥居本といい、嵯峨野の最も奥に位置する。もとは農林漁業を主体とする集落であったが、江戸時代中期以降、愛宕神社の門前町としても発展した。集落内を通る「愛宕街道」沿いには往時を偲ばせる古い街並みが残っており、「八体地蔵」が立つ三叉路から一の鳥居までの約600mの範囲が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。一の鳥居の近くには「京都市嵯峨鳥居本町並み保存館」がある。
 愛宕神社は愛宕山(標高924m)の山頂に立ち、麓の一の鳥居から清滝を経て50丁(約5.5km)の距離にある。火伏の神として古来知られ、全国に約900社ある愛宕神社の総本宮。神仏習合時代には愛宕権現を祀る白雲寺として栄えたが、明治の神仏分離で白雲寺は廃絶されて愛宕神社となった。1929(昭和4)年から1944(昭和19)年にかけては嵐電嵐山駅を発着する愛宕山鉄道とケーブルカーで行くことができ、山上にはホテルやスキー場などもあったが戦時下で撤去。信仰の山に戻るとともに、麓から徒歩で2時間以上かかることもあり参詣客は減少していった。
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みどころ

伝建地区の中ほどに立つ化野念仏寺を境に、上手の愛宕神社一の鳥居にかけては茅葺き農家風の建物が多く、下手の八体地蔵側には町家風の建物が多い。道沿いのそこかしこに野仏がたたずむ様子は趣深く、一の鳥居の前には400年前から続く茅葺きの茶屋があり、床几の緋毛氈や暖簾にも風情を感じる。また、鳥居の北約300mには愛宕念仏寺があり、あわせて訪ねたい。
 京都市嵯峨鳥居本町並み保存館は、明治時代初期の町家を復元、改装したもので、建物自体がみどころ。館内には嵯峨鳥居本が賑わっていた昭和初期の街並みの精密な復元模型や写真が展示されており、登山鉄道やケーブルカーもあったことに驚かされる。
関連リンク 京都市情報館(WEBサイト)
参考文献 京都市情報館(WEBサイト)
「全国博物館総覧」ぎょうせい
「京都ミュージアム探訪」京都市内博物館施設連絡協議会
「京都府の歴史散歩 上」山川出版社

2025年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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