知立神社ちりゅうじんじゃ

名鉄知立駅の北西、国道1号線沿いにある。駅より徒歩12分。池鯉鮒(ちりふ)大明神と呼ばれ、蝮(まむし)除け・雨乞い・安産の神として知られる。
 社伝によると、12代景行天皇の時代に創建されたという古社。「延喜式」神名帳には碧海(あおみ)郡六座の一つと記され、三河二宮にあたる。旧県社。
 境内には、本殿・幣殿・祭文殿・拝殿・重要文化財の多宝塔*のほか摂社や末社が整然と並ぶ。西参道沿いには芭蕉の句碑*が立つ。外苑には5月~6月に花しょうぶ*が一面に咲く知立公園がある。
 5月2~3日にはユネスコ世界無形遺産の山車がでる知立まつり*が開催される。
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みどころ

知立神社の蝮除けの信仰は、道中の安全を願い東海道を旅する人たちによく知られており、各地に分社・分霊が勧請された。
 花しょうぶの咲くころ、神社を中央に両サイドが花しょうぶで覆われ、美しい風景が出現する。
 多宝塔は杮葺で美しい。850(嘉祥3)年に円仁が創建したが、室町時代の建築様式を伝えているので、このころ再建されたと考えられる。
 知立祭りのからくりの始まりは1724(享保9)年、首(かしら)以外すべての人形の機構や衣装を、ありあわせの材料を用いて池鯉鮒宿の人びとが制作した。これは簡単に修理ができ、模様替えもできるように工夫されている。からくりは、糸を操って動かす方法がとられ、1体につき1~5人で、ときには80本もの糸を操る。現在は西町の山車のみで上演が続けられている。
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補足情報

*多宝塔:美しい杮葺きの屋根。室町時代の建築様式を伝える。国の重要文化財。
*芭蕉句碑:「不断たつ池鯉鮒の宿の木綿市」
*知立公園の花しょうぶ:1956(昭和31)年、1957(昭和32)年、1960(昭和35)年の3回にわたって、明治神宮から御下賜いただいたもので、明治天皇並びに昭憲皇太后御遺愛の名品種が植えられている。花しょうぶ園の面積は約7,500m2、約60品種の花しょうぶが、知立神社を挟んで西公園と東公園の2か所に植えられている。 
*知立祭り:5月2・3日に知立神社で行われる。池鯉鮒宿の人々の祭礼に対する熱意は『中町祭礼帳』(県民俗)に書き綴られてきた。2年に1度の本祭(翌年は間祭*)には、5台の山車が町内を練り歩く。祭りの歴史は1653(承応2)年から続いており、山車のうえで上演される「山車文楽とからくり」(国指定重要無形民俗文化財)が特徴である。4台の山車の上での文楽は知立のみで、1747(延享4)年から続く伝統を持っている。山車は2層構造で、高さ7m、重さ5tもあり、釘を1本も使わずに組み立てられている。もう一つ、知立の山車が注目されるのは浄瑠璃に合わせてからくりだけで人形が上演されるからである。
*間祭(あいまつり):本祭と1年おきになる。5町から5台の花車が出る。間祭には「山車文楽」と「からくり」がない。
関連リンク 知立神社(WEBサイト)
参考文献 知立神社(WEBサイト)
知立公園花しょうぶまつり(WEBサイト)
知立まつり(WEBサイト)
知立の山車文楽とからくり(WEBサイト)
『愛知県の歴史散歩 下』愛知県高等学校郷土史研究会=編 山川出版社

2024年05月現在

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