堂ヶ島海岸どうがしまかいがん

伊豆西海岸のほぼ中央、堂ヶ島の瀬浜から安城岬(あじょうみさき)にかけての2kmほどの海岸線。海上に白色の安山岩質凝灰岩からなる大小の波食群島を浮かべ、島には松が茂り、松島に似た風景を造っている。これらは海底に堆積した火山物質が、いったん隆起したのち沈降して多島海となったもので、島の表面に風波の浸食によって斜交層理と呼ばれるきめの細かい縞模様が現れているのをみることができる。
 堂ヶ島海岸の北部は瀬浜海岸と呼ばれ、干潮時にトンボロ(陸繋砂州)で三四郎島*1とつながる。温泉街を挟んで南側には海食洞窟の天窓洞*2、さらに亀島*3・蛇島*4・稗三升島と呼ばれる大きな3つの島が並ぶ。 これらを見物する遊覧船*5は亀島を望む堂ケ島の桟橋から発着する。
 堂ヶ島海岸へのアクセスは、車では三島、修善寺方面及び下田方面からの国道136号線がメインルート。三島、修善寺及び松崎、下田方面から路線バスがあり、堂ヶ島バス停は西伊豆町観光協会(堂ヶ島観光案内所)の前。
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みどころ

堂ヶ島のもっとも美しい時間帯は多島海の美しい海景を前衛として大海原に夕陽が沈む時だ。ゆったりと海岸散歩を楽しみたい。                            
 島々を巡ると、波や海流が土砂、岩石を再配列して創造した斜交層理の美しい縞模様を観察できるが、地質地層に興味をもたない者でも自然の造形の素晴らしさに驚嘆する。
 天窓洞は堂ヶ島海岸のハイライト。洞内に天窓のような上部や出入口などいろいろなところから光が射し込み、季節・時間・天候により水の色が様々に変化し幻想的。1935(昭和10)年に訪れた、与謝野鉄幹・晶子夫妻は、「島の洞 御堂に似たり舟にして 友の法師よ 参れ心経」(鉄幹)と「堂ヶ島 天窓洞の天窓を ひかりてくだる 春の雨かな」(晶子)と詠んだ。歌碑は堂ヶ島公園の遊歩道にある。
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補足情報

*1 三四郎島:瀬浜海岸の沖合い約200mのところにある伝兵衛島・中ノ島・沖ノ瀬島・高島の4つの島を指す。干潮時には一番手前の伝兵衛島まで陸繋がりとなり、足を濡らさずに渡ることができる(季節、日時によるので事前に確認が必要)。島ではマグマの噴出によって形成された柱状節理などが観察できる。
*2 天窓洞:天窓洞のある海食崖は白色細粒の安山岩質凝灰岩からできており、2筋の断面に沿って海食が進み洞くつができ、さらに中央部の天井が丸く抜け落ち天窓のようになった。洞内は海食によって蜂の巣のように支洞が造られ複雑な構造となっている。洞内には遊覧船でそのまま入ることができ、海食崖の上にある堂ヶ島遊歩道を辿れば上からも見ることができる。                                                   *3 亀島:亀の姿に似た島で、海底火山によって流れた水底土石流によってできた地層から成る。このため、土砂、岩の浮力の違いから島の上部には小さな土砂、岩があり、下部に行くに従い大きな岩が堆積している。                                                 *4 蛇島:海底に堆積した白い火山灰の地層が固まらないうちに変形し、蛇がうねったような模様が遺されている。
*5 遊覧船: 天窓洞などを巡る洞くつめぐり遊覧船、海岸線の地層地質なども観察できるジオサイトクルーズなどがある。

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