郡上おどりぐじょうおどり

「郡上の八幡出てゆくときは、雨も降らぬに袖しぼる」(踊り曲「かわさき」の一節)哀調を帯びた盆踊り歌が街を流れる。郡上八幡の夏は踊りで始まり、踊りで終わるといえる。7月中旬の発祥祭(はっしょうさい)から9月上旬の踊り納めまで、日替わりで広場や神社境内、町内の道路を会場にして約30夜にわたって踊り続けられる。なかでも盂蘭盆会(うらぼんえ)の8月13~16日までの4日間は、夜を徹して踊られる「徹夜おどり」。踊りに魅了された多くの人々が集まり、街の辻々でおどり屋形を中心に、老若男女が踊りの輪を繰り広げる。
 郡上おどりの始まりは明らかではないが、江戸時代寛永年間(1624~1644年)に八幡城主遠藤慶隆(よしたか)が藩内の民心の融和を計るため、士農工商、男女の別なく踊らせたといわれ、また農民一揆後の1758(宝暦8)年丹後宮津から移封されてきた青山幸道(よしみち)も毎夏盆踊りを奨励したといわれている。踊りは、ゆったりとした調子からテンポの速いもの、三味線や太鼓の囃子が有るもの・無いものなど様々で、10種類ある。
 また、市内白鳥町では、郡上おどりと並ぶ夏の伝統的な盆踊りで、軽快なテンポが特徴である8種類の「白鳥(しろとり)おどり」が催されている。
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みどころ

江戸時代に城下での盆おどりを奨励するため郡上の藩内のあちこちの村に伝わっていたものを集めた郡上おどり(諸説有)は、ゆったりとした素朴な「かわさき」、馬を制する姿勢でリズムよく跳ねる「春駒(はるこま)」、手毬の所作の「げんげんばらばら」、手拍子と下駄を踏み鳴らす「さわぎ」、城主から300文をもらった領民達が喜んで踊ったという「三百(さんびゃく)」、最後の締めに踊られる「まつさか」など、いずれも歌や踊りに当時の庶民の感覚が素朴に表現されている。
 簡単な所作で誰でも踊りやすい郡上おどりは、観光客も地元の人も一緒に輪になって踊る楽しさがある。城下町の風情が残る古い町並みをバックに、浴衣姿で手拍子と下駄の音を響かせ踊り続ける。みんなの調子が揃ってきて、下駄の音や振りが一体化する。夏の夜の一大絵巻である。
 殿町の「郡上八幡博覧館」では、郡上おどりの由来・歴史の解説展示、イラストパネルや映像による踊り方を紹介していて、踊りシーズン外でも館内で郡上おどりの実演がされている。
関連リンク 郡上市(WEBサイト)
参考文献 郡上市(WEBサイト)
TABITABI郡上(一般社団法人 郡上市観光連盟)(WEBサイト)
郡上八幡博覧館(WEBサイト)
『郡上おどり』リーフレット 郡上八幡観光協会
『江戸時代人づくり風土記』農山漁村文化協会(農文協)

2024年03月現在

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