いとしろ大杉いとしろおおすぎ

東海北陸自動車道の白鳥ICから約60分。郡上市白鳥(しろとり)町石徹白地区の白山中居(はくさんちゅうきょ)神社の北、福井県・石川県との県境近くの白山登山道登り口にあり、推定樹齢1800年以上、高さ25m、幹周14mを誇る巨木である。大人12人が手をつないでやっと囲めることから、別名を「12抱えの大杉」とも呼ばれている。大杉は標高1,000mの高所にあり、周囲は広場になっている。長年の風雪により幹は途中から折れているが、大杉の樹上には数種の樹木が生育している。
 麓にある鎌倉・室町時代に隆盛を極めていた白山中宮長滝寺(現 長滝白山神社・長龍寺)を拠点とした白山信仰の修験道(美濃禅定道*)沿いにあり、道標の役目にもなっている。
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みどころ

白山信仰の参拝者を見守り続けてきた霊験あらたかな古木。見上げると、1800年以上の長い年月を生き抜いてきたという巨樹に神秘的な力を感じる。
 僧の泰澄(たいちょう)*が奈良時代717(養老元)年に白山(標高2,702m)を開山する折、道に迷って飲み水を探していると、一匹の熊が現れて清水へと導き、のどを潤すことができた。そのとき大師が持っていた杉の杖を地面に突き刺した。その杉が成長していとしろ大杉になったとも伝わる。
 白山中居神社から林道を川沿いに約7km進むと、白山登山道の登り口に駐車場がある。更に420段の石段を登ると、大杉がたたずむ広場に到着する。(林道は、落石や冬期の雪による通行止め有り。)
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補足情報

*美濃禅定道:白山へ参拝する美濃側のルート。美濃市の洲原神社から郡上市白鳥町の白山中宮長滝寺、石徹白の白山中居神社・いとしろ大杉、神鳩峰、三ノ峰、別山を経て白山山頂(御前峰)に至る。
*泰澄(たいちょう):682(天武天皇11)年~767(神護景雲元)年。奈良時代の修験者。加賀(石川県)白山の開創者とされる。717(養老元)年弟子の浄定(きよさだ)らと白山にのぼり、妙理大菩薩を感得したという。越前(福井県)出身。俗姓は三神。通称は越(こし)の大徳。号は神融禅師。