明通寺みょうつうじ

北川の支流、松永川を8kmさかのぼった上流にある。橋を渡って参道を行くと山門があり、一直線に行ったところに本堂*、三重塔*が、杉木立に囲まれた境内に美しい姿を見せている。
 この寺は、蝦夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷征代による多くの犠牲者を弔い平和を願い、806(大同元)年に建立したと伝えられる。中世以前の沿革は判然としていないが、最盛期には25坊が立ち並び隆盛を極めたという。国宝の本堂は1258(正喜2)年、同じく国宝の三重塔は1270(文永7)年に、それぞれ再建されている。
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みどころ

橋を渡ると入口左手の庭園風の植栽がよい。
 山の斜面に広がる伽藍は、階段を登るたびに山門、本堂、三重塔と目の前に現れ、視覚効果を考えた建物の配置が見事である。本堂は樹木の中に落ち着いた美しさを見せ薬師堂とも呼ばれる。桧皮葺の屋根の勾配と隅軒の反りが急で流麗さを見せている。全体に荘重で、力感あふれた建築である。三重塔は鎌倉時代の典型的な建築様式を見せ、高さ、屋根のバランスがよく、すっきりとした姿をしている。(溝尾 良隆)
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補足情報

*本堂:正面5間、側面6間、単層、入母屋造、屋根は檜皮葺。柱は円柱で和様出組をのせ、軒支輪を用いている。本堂内には薬師如来坐像、4面8臂の忿怒の形相をした木造降三世(ごうざんぜ)明王立像、炎髪は天を向き、頭にどくろを頂き、腹部には女性の首をさし、左手に蛇を持ち、右手には戟(げき)(三叉に分れた柄の先に鋭い刃がついている武器)を持つ怪異の姿で立っている深沙(じんじや)大将立像、この3体を安置している。
*三重塔:3間四方、桧皮葺。高さ約22m。各層総円柱で各重とも和様三手先の組物である。
*寺は東小浜駅から5kmの距離にあり、案内標識が不十分でわかりにくいので注意。
関連リンク 明通寺(WEBサイト)
参考文献 明通寺(WEBサイト)

2022年06月現在

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