熊川宿くまかわじゅく

国道303号線が上中~熊川~滋賀県高島市今津を結んでいるが、この道はかつての若狭街道で、途中の保坂から南へ折れると朽木、大原、八瀬を経て京都に至るのが鯖街道である。
 近江と若狭との国境に位置する熊川は、熊川城が築かれたり、近江との国境大杉に関所が置かれたりし、1589(天正17)年、浅野長政が命じて、宿場町としての役割を担うようになった。江戸時代初期には、年間20万駄の物資が熊川を通り、京や大阪に輸送されたという。小浜藩の町奉行所や幕府による女人通行取締りのための「女人止めの関所」もおかれていた。
 国指定の重要伝統的建造物群保存地区は、東西方向に通る街道筋に形成された旧宿場町の大部分を占める。
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みどころ

平入と妻入りの町屋主屋が入り交じり、変化ある町並み景観を構成している。街道沿いの水路*は水量豊かな前川で、全国の数ある重伝建のなかで、水路があり、それがかなりの幅で水がたっぷりと流れる風景は、きわめて珍しい。
 しかし、関西、名古屋方面からは来にくいところなのか、来訪者が意外に少なく、その分静かで、じっくりと町並みを探勝できる。交通の便は、小浜線JR上中駅から1時間に1本のバスの便はあり、15分で来ることができるし上中駅には電動自転車も用意されているので、それほど不便な場所ではないので、今後来訪者が増えることが期待されよう。(溝尾 良隆)
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補足情報

*水路:屋敷の出入り口に石橋が架かり、所々に「かわと」と呼ぶ洗い場がある。
関連リンク 若狭町(WEBサイト)
参考文献 若狭町(WEBサイト)
若狭へ行こう!(一般社団法人若狭三方五湖観光協会)(WEBサイト)
『歴史の町並 令和元年版』全国伝統的建造物群保存地区協議会
『福井県の歴史散歩』山川出版社、2010年

2022年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。